開設にあたって ― 私たちの使命
GEPRとは
GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)は、日本と世界のエネルギー政策を深く公平に研究し、社会に提言するウェブ上の「仮想シンクタンク」です。この機関は、アゴラ研究所(東京)が運営し、エネルギー問題についての研究と調査、インターネットでの情報提供、シンポジウムの開催、提言の作成、書籍の出版を行います。
GEPRの目指すもの
GEPRは、さまざまな立場の世界各国の市民と専門家が、エネルギーの未来を語り合う、質の高い議論の場を目指します。このサイトは、エネルギー問題をめぐる専門家による寄稿と、重要な情報のデータベースの2つの機能があります。ここでの議論は、日本と世界のエネルギーの未来を考える際に、重要なヒントを提供するでしょう。
日本は2011年3月11日に起こった東日本大震災、そしてその後の福島にあった東京電力の原子力発電所の事故という悲劇に直面しました。発電設備の被災によって、被災地と東日本全域に電力、ガソリンなどエネルギー源の不足が起こりました。また原子力発電の是非、その代替策としての再生可能エネルギーの導入について、国内で議論が活発になっています。
そのために日本はエネルギー供給体制の脆弱性の克服、再生可能エネルギーの普及、原子力の安全性など、さまざまな課題の解決を迫られています。ここで必要なのは、正確で意義のある情報です。GEPRはそのような情報を集積する場になります。そして日本の経験は、エネルギーをめぐる問題に直面している世界のさまざまな国が、その問題を解決する際に役立つものになるでしょう。
エネルギーをめぐる「熟議」から日本の変革を
また日本では、政策や社会問題をめぐる議論が、社会の中での議論が深まらない状況が続いています。GEPRはエネルギー問題の「熟議の場」をつくって知的生産を行い、こうした「知の貧困」と言える状況を変えたいと考えます。
なぜ日本ではこのような状況が起こったのでしょうか。2009年まで自民党を中心にした長期政権が続き、政党間における政策の競争がなく、また市民の政治参加の機会も少なかったのです。そして政策立案を、官僚が独占してきました。さらにアカデミズムも十分に機能しませんでした。社会的影響力が乏しいのです。
しかし、そうした古いシステムで、数多くの社会問題を解決することには限界があります。現在の日本政治の混迷は、こうした「知の貧困」と言える状況に起因します。
エネルギー問題は、全国民が向き合わなければならない最重要課題の一つです。さらに安全保障、地球温暖化、経済システムなどさまざま問題と結びつきます。
この分野での健全な熟議が、日本の社会の再生の一助になると、GEPRはスタッフ一同信じています。
志のある日本と、そして世界の市民の支援を、よろしくお願いいたします。
アゴラ研究所所長 池田信夫
2012年1月
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