玉木代表、光熱費を下げるには脱炭素150兆円を止めるべきです

2024年11月08日 06:40
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

「手取りを増やす」という分かりすいメッセージで躍進した国民民主党が自公与党と政策協議をしている。最大の焦点は「103万円の壁」と報道されている。

その一方で、エネルギーに関しては、国民民主党は原子力発電の推進、ガソリン税の軽減、再エネ賦課金の停止などを掲げてきていて、これはいずれも光熱費の削減につながる。

国民民主党・玉木代表
国民民主党HPより

だがいま、国民民主党には、もっと大きな絵を見てほしい。本当に光熱費を下げたければ、菅・岸田政権が進めてきた「グリーントランスフォーメーション(GX)」こそ廃すべきだ。

2023年に成立したGX法では、10年間で150兆円の投資を見込んでいる。この原資は全て国民負担になる。

投資先が有望ならよいが、全くそうではない。再エネを筆頭に、CO2回収貯留、アンモニア発電、水素合成燃料など、きわめてコストのかかる技術ばかりが並んでいる。このような技術を大量導入すると、どうなるか。

過去に再エネ賦課金で起きた失敗が拡大され、繰り返されるだけだ。

つまり光熱費はますます高騰し、国民経済は疲弊する。

再エネ賦課金はいま年間3兆円弱であるが、GXは毎年15兆円もかかる。再エネ賦課金だけ停止しても、それは木をみて森を見ず、ということにならないか。

CO2を減らしたいのならば、原子力発電の推進、それからコストがかからない範囲での省エネを進めればよい。筋の良い省エネならば、設備投資に費用をかけても、光熱費の削減で取り返せる。

日本の電気代は、ここ15年ですっかり高騰した(図1)。

図1 電気料金平均単価の推移
出典:資源エネルギー庁

筆者らは、「非政府有志によるエネルギー基本計画」提言において、「電気代を東日本大震災前の2010年の水準に戻す」ことを、政府の目標にすべきだと提言した。これは日本商工会議所のエネルギー基本計画への提言にも取り入れて頂いた。

玉木代表率いる国民民主党にも、光熱費を2010年の水準に戻すことを目標として掲げて、GXに偏った国民生活無視のエネルギー政策を換骨奪胎して頂きたい。

 

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 高速炉、特にもんじゅの必要性、冷却材の選択及び安全性についてGEPRの上で議論が行われている。この中、高速炉の必要性については認めながらも、ナトリウム冷却高速炉に疑問を投げかけ、異なるタイプで再スタートすべきであるとの主張がなされている。
  • 第6次エネルギー基本計画の素案が、資源エネルギー庁の有識者会議に提示されたが、各方面から批判が噴出し、このまま決まりそうにない。 電源構成については、図1のように電力消費を今より20%も減らして9300~9400億kWh
  • チャーミー大島先生との巡り会い 大島教授に最初にお会いしたのは、彼が立命館大学教授になって数年、岩波の〝赤本〟『原発のコスト』をもって華々しく論壇に登壇した直後の頃だった。原発の反対・推進が相まみえるパネル討論会でのこと
  • 米国が最近のシェールガス、シェールオイルの生産ブームによって将来エネルギー(石油・ガス)の輸入国でなくなり、これまで国の目標であるエネルギー独立(Energy Independence)が達成できるという報道がなされ、多くの人々がそれを信じている。本当に生産は増え続けるのであろうか?
  • IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 論点⑳では、「政策決定者向け要約」の書きぶりが針小棒大に
  • まえがき エネルギーは食料と同じで、我々の生活に必須である。日本のエネルギー自給率は今10%にも届かないので、需要の90%以上を海外から買っている。一方食料の自給率は40%程度だが、やはり残り60%を海外に依存している。
  • IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 アフリカのサヘル地域では1980年代に旱魃が起きて大きな
  • 6月22日、米国のバイデン大統領は連邦議会に対して、需要が高まる夏場の3か月間、連邦ガソリン・軽油税を免除する(税に夏休みをあたえる)ように要請した。筆者が以前、本サイトに投稿したように、これはマイナスのカーボンプライス

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑