東京都が伊豆諸島を風力で景観破壊、パブコメを出そう
東京都が「東京都離島振興計画」の素案を公表した。
島を愛する私にとっては、とんでもない環境破壊の話だ!
さてこの計画、いまE-MAILや郵送でのパブコメを募集している。
お手軽に提出できるので(この点は高く評価する)、さっそく私も出した。以下に全文を掲載する。読者諸賢も、ぜひ、パブコメを出してほしい。
東京都離島振興計画素案への意見
氏名:杉山 大志
住所:東京都
該当箇所:「風力」「太陽光」「地熱」「再生可能エネルギー」に関わる部分
意見内容:都は、太陽、風力、地熱などの再生可能エネルギーについて、その環境影響とコストについて真剣に検討すべきだ。そうすると、本計画案における再生可能エネルギーの推進という方針を取り下げるという結論になるのではないか。
理由:以下の通り東京都離島振興計画素案では、伊豆大島や新島などに洋上風力や太陽光発電を導入するとしている。
だが、島を愛し、何度も訪れた私としては、全く耐え難い話だ。
風力発電は、景観を乱し、騒音を出す。そもそも人は島に癒しを求めに行くのだ。そこに巨大な人工物である風車など見たくないではないか。
メガソーラーも同じだ。せっかくの雄大な自然の風景を害する。
このようなものが建設されれば、観光客も来なくなるのではないか?
風力・太陽は電気事業としての経済性も極めて悪い。伊豆諸島では電力供給の殆どはディーゼル発電が賄っている。風力発電や太陽光発電はお天気任せなので、いくら作ってもディーゼル発電機を無くす訳にはいかない。このため、明らかに二重投資になる。
もちろん、風力発電や太陽光発電があれば、ディーゼル燃料を節約することはできる。けれども、何しろ離島なので、風力発電や太陽光発電を建設したり維持したりするコストは高くつく。離島というのは、何でもコストがかかるのだ。
伊豆諸島には、台風もしばしば襲い、強風に見舞われる。海水が吹き付けられて、塩害も起きる。これに耐える頑強な施工もしなければならない。だがそれでも発電設備の劣化は速い。これもコスト要因になる。
太陽・風力に比べれば、地熱発電の方が問題は少ないが、資材を本土から運び、技術者も本土から派遣するなどの理由で、やはり相当な高コストになることは変わりない。このことは過去の八丈島での地熱発電事業の経験でもよく分かっているはずだ。
離島にとってのベストの電力の選択は、今の技術の実力を比べると、ディーゼル発電なのだ。そこに無理に風力発電や太陽光発電を持ち込んでも、環境が破壊され、コストが嵩むだけで、島民にとっても、国民にとっても、良いことは何もない。喜ぶのは、事業を請け負って利益を上げる事業者と、何かやったとアピールしたい政治家や行政官だけなのではないか。
都は、太陽、風力、地熱などの再生可能エネルギーについて、その環境影響とコストについて真剣に検討すべきだ。
そうすると本計画案における再生可能エネルギーの推進という方針は、取り下げるという結論になるのではないか。
■
『キヤノングローバル戦略研究所_杉山 大志』のチャンネル登録をお願いします。
関連記事
-
JBPress11 月25日。池田信夫氏寄稿。東電問題をめぐる解決策。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
日本の核武装 ロシアのウクライナ侵攻で、一時日本の核共有の可能性や、非核三原則を二原則と変更すべきだとの論議が盛り上がった。 ロシアのプーチン大統領はかつて、北朝鮮の核実験が世界のメディアを賑わしている最中にこう言い放っ
-
オックスフォード大学名誉教授のウェイド・アリソン氏らでつくる「放射線についての公的な理解を促進する科学者グループ」の小論を、アリソン氏から提供いただきました。
-
(GEPR編集部より)この論文は、国際環境経済研究所のサイト掲載の記事から転載をさせていただいた。許可をいただいた有馬純氏、同研究所に感謝を申し上げる。(全5回)移り行く中心軸ロンドンに駐在して3年が過ぎたが、この間、欧州のエネルギー環境政策は大きく揺れ動き、現在もそれが続いている。これから数回にわたって最近数年間の欧州エネルギー環境政策の風景感を綴ってみたい。最近の動向を一言で要約すれば「地球温暖化問題偏重からエネルギー安全保障、競争力重視へのリバランシング」である。
-
東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所を5月24日に取材した。危機的な状況との印象が社会に広がったままだ。ところが今では現地は片付けられ放射線量も低下して、平日は6000人が粛々と安全に働く巨大な工事現場となっていた。「危機対応」という修羅場から、計画を立ててそれを実行する「平常作業」の場に移りつつある。そして放射性物質がさらに拡散する可能性は減っている。大きな危機は去ったのだ。
-
昨年夏からこの春にかけて、IPCCの第6次報告が出そろった(第1部会:気候の科学、第2部会:環境影響、第3部会:排出削減)。 何度かに分けて、気になった論点をまとめていこう。 縄文時代は「縄文海進期」と言われ、日本では今
-
はじめに述べたようにいま、ポスト京都議定書の地球温暖化対策についての国際協議が迷走している。その中で日本の国内世論は京都議定書の制定に積極的に関わった日本の責任として、何としてでも、今後のCO2 排出枠組み国際協議の場で積極的な役割を果たすべきだと訴える。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間