ロイターの大誤報:海面が毎年4.5センチ上がる!?

2022年05月19日 16:00
アバター画像
アゴラ研究所所長

ロイターが「世界の海面上昇は史上最高になり、海面が毎年4.5センチ上がる」というニュースを世界に配信した。これが本当なら大変だ。この調子で海面が上がると、2100年には3.6メートルも上がり、多くの都市が水没するだろう。

ところがNHKは「30年間に10センチ余り」と報道している。

計算が合わないので、情報源のWMO(世界気象機関)のウェブサイトで確認すると「最近で毎年4.5mm」。これだと30年で135ミリだから、NHKの数字が正しい。

https://twitter.com/WMO/status/1526872728321593345

こんな誤報が出たのは、アル・ゴアが2006年に映画「不都合な真実」で予言した「近い将来に20フィート(6メートル)海面が上がる」という数字をジャーナリストが(デスクや校閲まで)信じているからだろう。

ゴアはこの映画の翌年に、ノーベル平和賞を受賞した。この数字はその後いわなくなったが、正式に撤回もしていない。おかげで世界には、まだ「海面が2.5メートル上がって都市が水没する」と信じている人がいる。

4.5ミリの海面上昇というのは、1日の干潮と満潮の差1.5メートルに比べると、誤差みたいなものだ。

海面が6メートル上がるなら大問題だが、100年で45センチ上がっても、堤防を嵩上げする程度だ。そのコストは「カーボンニュートラル」の莫大な対策費とは比較にならない。

これがゴアの不都合な真実である。彼は今さら引っ込みがつかないだろうが、環境左派のみなさんはそろそろ知識をアップデートしてはどうだろうか。

【追記】英語版では”Sea level has risen 4.5 cm (1.8 inches) in the last decade“となっているので、日本語版の誤訳かもしれない。

This page as PDF

関連記事

  • 前回に続き、最近日本語では滅多にお目にかからない、エネルギー問題を真正面から直視した論文「燃焼やエンジン燃焼の研究は終わりなのか?終わらせるべきなのか?」を紹介する。 (前回:「ネットゼロなど不可能だぜ」と主張する真っ当
  • 前回ご紹介した失敗メカニズムの本質的構造から類推すると、米国の学者などが1990年代に行った「日本における原子力発電のマネジメント・カルチャーに関する調査」の時代にはそれこそ世界の優等生であった東電原子力部門における組織的学習がおかしくなったとすれば、それは東電と社会・規制当局との基本的な関係が大きく変わったのがきっかけであろうと、専門家は思うかもしれない。
  • いま東芝をたたくのは簡単だ。『東芝解体』のように正義漢を気取って、結果論で東芝を批判するのは誰でもできる。本書のタイトルはそういうきわものに見えるが、中身は10年近い取材の蓄積をもとにしている。テーマは経営陣の派閥抗争な
  • はじめに 2025年11月、第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)がブラジル・ベレンで開催され、各国は「ネットゼロ」「脱炭素」を合言葉に巨額の資金と政治的エネルギーを費やしました。COP30が閉幕し、世界は
  • 4月16日の日米首脳会談を皮切りに、11月の国連気候変動枠組み条約の会議(COP26)に至るまで、今年は温暖化に関する国際会議が目白押しになっている。 バイデン政権は温暖化対策に熱心だとされる。日本にも同調を求めてきてお
  • 河野太郎氏の出馬会見はまるで中身がなかったが、きょうのテレビ番組で彼は「巨額の費用がかかる核燃料サイクル政策はきちんと止めるべきだ」と指摘し、「そろそろ核のゴミをどうするか、テーブルに載せて議論しなければいけない」と強調
  • 我が国の2030年度の温室効果ガスの削減目標について、2050年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、2013年度から46%削減を目指すこと、さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていきます。トップレベルの
  • 進次郎米(備蓄米)がようやく出回り始めたようである。 しかし、これは焼け石に水。進次郎米は大人気で、売り切れ続出だが長期的な米価の引き下げにはなんの役にも立たない。JA全農を敵視するような風潮にあるが、それに基づく改革は

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑