米国民は温暖化対策より石油増産を望んでいる
ウクライナ戦争の影響を受けて、米国でもエネルギー価格が高騰し、インフレが問題となっている。
ラムスセン・レポート社が発表した世論調査によると、米国の有権者は気候変動よりもエネルギーコストの上昇を懸念していることがわかった。(ブライトバート記事、世論調査の詳細)
調査結果を紹介しよう:
Q1. 今後100年以内に、気候変動が人間や動植物に壊滅的な打撃を与える可能性はどの程度ですか?
30% 非常に高い
20% ややありそう
18% あまり可能性がない
24% まったく可能性がない
8% よくわからない
Q2. エネルギーやガソリンの価格上昇について、どの程度懸念していますか?
60% 非常に心配している
22% やや心配
10% あまり心配していない
4% 全く心配していない
4% よくわからない
Q3. あなたは、米国における石油・天然ガスの採掘を劇的に増加させる法律に、強く賛成しますか、やや賛成ですか、やや反対ですか、強く反対ですか?
43% 強く賛成
17% やや賛成
14% やや反対
16% 強く反対する
11% わからない
Q4. エネルギー価格低減のための石油・ガス採掘の拡大と、気候変動抑制のための二酸化炭素排出抑制のどちらを議会とバイデン大統領は重視すべきとお考えですか?
52% 石油とガスの採掘を増やす
34% 二酸化炭素の排出を制限する
6% その他
9% わからない
米国なので、例によって共和党と民主党の支持者で意見は真っ二つに分かれる傾向にはあるが、それにしても、エネルギー価格の高騰(Q2)、石油・ガスの採掘を増やすべきこと(Q3)、それを気候変動抑制より優先すべきこと(Q4)については、過半数の支持があることが注目される。
民主党支持者であっても、少なからぬ人々が、石油・ガスの増産を気候変動抑制よりも望んでいるということだ(党派別の内訳について詳しくは調査報告に譲る)。
■
関連記事
-
「たぶんトランプ」に備えて米国の共和党系シンクタンクは政策提言に忙しい。何しろ政治任命で高級官僚が何千人も入れ替わるから、みな自分事として具体的な政策を考えている。 彼らと議論していると、トランプ大統領になれば、パリ気候
-
燃料電池自動車の市場化の目標時期(2015年)が間近に迫ってきて、「水素社会の到来か」などという声をあちこちで耳にするようになりました。燃料電池を始めとする水素技術関係のシンポジウムや展示会なども活況を呈しているようです。
-
GEPRを運営するアゴラ研究所は映像コンテンツ「アゴラチャンネル」を放送しています。5月17日には国際エネルギー機関(IEA)の前事務局長であった田中伸男氏を招き、池田信夫所長と「エネルギー政策、転換を今こそ--シェール革命が日本を救う?」をテーマにした対談を放送しました。
-
バイデン政権は温暖化防止を政権の重要政策と位置づけ、発足直後には主要国40ヵ国の首脳による気候サミットを開催し、参加国に2050年カーボンニュートラルへのコミットや、それと整合的な形での2030年目標の引き上げを迫ってき
-
ろくにデータも分析せずに、温暖化のせいで大雨が激甚化していると騒ぎ立てるニュースが多いが、まじめに統計的に検定するとどうなのだろう、とずっと思っていた。 国交省の資料を見ていたら、最近の海外論文でよく使われている「Man
-
福島第一原発の事故は我国だけでなく世界を震撼させた。電力会社に在籍したものとして、この事故の意味を重く受け止めている。
-
今年も台風シーズンがやってきた。例年同様、被害が出る度に、「地球温暖化のせいで」台風が「激甚化」している、「頻発」している、といったニュースが流れるだろう。そこには毎度おなじみの“専門家”が登場し、「温暖化すれば台風が激
-
熊本県、大分県を中心に地震が続く。それが止まり被災者の方の生活が再建されることを祈りたい。問題がある。九州電力川内原発(鹿児島県)の稼動中の2基の原子炉をめぐり、止めるべきと、主張する人たちがいる。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間