脱炭素と言いつつ脱原発というドイツの大矛盾
米国のロジャー・ピールキー(Roger Pielke Jr.)は何時も印象的な図を書くが、また最新情報を送ってくれた。
ドイツは脱原発を進めており、今年2022年にはすべて無くなる予定。
その一方で、ドイツは脱炭素、脱石炭を国是にしている。
けれど、もしも原発が2001年の水準で維持されていれば、はやくも今年には石炭火力は不要になっていたはず、というのだ(図)
図中、赤は2001年の原子力発電電力量。黒は、2020年の、石炭火力発電量。
もしもドイツが2001年の原子力発電量を維持さえしていれば、今年にも、石炭火力発電量はゼロに出来ていた、ということだ。
脱原子力と脱石炭を同時に進めるというドイツの政策が、いかに矛盾に満ちていることか。
■
関連記事
-
原子力発電は「トイレの無いマンション」と言われている。核分裂で発生する放射性廃棄物の処分場所が決まっていないためだ。時間が経てば発生する放射線量が減衰するが、土壌と同じ放射線量まで減衰するには10万年という年月がかかる。
-
欧州の環境団体が7月に発表したリポート「ヨーロッパの黒い雲:Europe’s Dark Cloud」が波紋を広げている。石炭発電の利用で、欧州で年2万2900人の死者が増えているという。
-
ドイツのチューリンゲン州で州議会選挙が行われた。得票率は図1の通り。ドイツ連邦の連立政権与党である社会党(SPD)、緑の党(Grune)、自民党(FDP)が大惨敗。躍進したのはドイツでも日本でも大手メディアからは極右扱い
-
12月4日~14日、例年同様、ドバイで開催される気候変動枠組み条約締約国会合(COP28)に出席する。COP6に初参加して以来、中抜け期間はあるが、通算、17回目のCOPである。その事前の見立てを考えてみたい。 グローバ
-
小泉・細川“原発愉快犯”のせいで東京都知事選は、世間の関心を高めた。マスコミにとって重要だったのはいかに公平に広く情報を提供するかだが、はっきりしたのは脱原発新聞の視野の狭さと思考の浅薄さ。都知事選だというのに脱原発に集中した。こんなマスコミで日本の将来は大丈夫かという不安が見えた。佐伯啓思・京大教授は1月27日付産経新聞朝刊のコラムで「原発問題争点にならず」と題して次のように書いた。
-
先日、「石川和男の危機のカナリア」と言う番組で「アンモニア発電大国への道」をやっていた。これは例の「GX実行に向けた基本方針(案)参考資料」に載っている「水素・アンモニア関連事業 約7兆円〜」を後押しするための宣伝番組だ
-
今回は、日本人研究者による学術論文を紹介したい。熱帯域を対象とした、高空における雲の生成と銀河宇宙線(GCR)の相関を追究した論文である(論文PDF)。本文12頁に、付属資料が16頁も付いた力作である。第一著者は宮原ひろ
-
菅直人元首相は2013年4月30日付の北海道新聞の取材に原発再稼働について問われ、次のように語っている。「たとえ政権が代わっても、トントントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです」と、自信満々に回答している。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間