IPCC報告の論点㉘:やはりモデル予測は熱すぎた
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。
論点⑫に「IPCCの気候モデルは過去の気温上昇を再現できず、気温が上昇しすぎる」ことを述べた。
今般、最新のデータを使用したビジュアルな図が出回ったので紹介しよう。
図は、IPCC報告で使用された気候モデル(“CMIP6 Model”)の計算結果(カラーの複数の線)を、衛星観測(アラバマ大学、UAH、黒線)と比較したもの。比較対象は、地球全体の、上空9000メートル以下の対流圏の気温である。
縦軸の気温は華氏で表示されているが、図中の1.8°Fは1℃のことである。
なお気温上昇量を比較するため、どの折れ線グラフも、その回帰直線が1979年にゼロ°Fになるように上下にずらしてある。
図から一目瞭然、殆どのモデルは、観測値よりも熱くなり過ぎている。
2016年から2020年にかけては、大きなエルニーニョが来て気温が高くなったにも関わらず、である。論点⑱で書いたように、今年2021年はまた気温は下がることになりそうだ。そうすると、ますますモデルと観測の乖離が広がるだろう。
過去についてこれだけ外れていたら、その将来予測は取り下げるべきではないか? だがIPCC報告はそうしてはおらず、将来予測はそのまま掲載している。
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1つの報告書が出たということは、議論の終わりではなく、始まりに過ぎない。次回以降も、あれこれ論点を取り上げてゆこう。
【関連記事】
・IPCC報告の論点①:不吉な被害予測はゴミ箱行きに
・IPCC報告の論点②:太陽活動の変化は無視できない
・IPCC報告の論点③:熱すぎるモデル予測はゴミ箱行きに
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・IPCC報告の論点㉕:日本の気候は大きく変化してきた
・IPCC報告の論点㉖:CO2だけで気温が決まっていた筈が無い
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・IPCC報告の論点㉘:やはりモデル予測は熱すぎた
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