電気代は再生可能エネルギー導入量に比例する

2021年09月30日 07:00
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

太陽光発電と風力発電はいまや火力や原子力より安くなったという宣伝をよく聞くが、実際はそんなことはない。

vchal/iStock

複数の補助金や規制の存在が本当のコストを見えにくくしている。また火力発電によるバックアップや送電線増強のコストも、その存在は分かりにくい。

そこで再生可能エネルギーの真のコストを知るためには、その導入量と、電気代を全体として比較してみるのが一つの方法になる。

下図は欧州諸国の間でその比較をしたもの。横軸は一人当たりの太陽光発電と風力発電の導入量(ワット)である。縦軸は家庭の電気料金である。データは2016年のもの。

出典:Mark Mills

これを見ると、太陽光発電と風力発電の導入量と、電気代は比例関係にあることが分かる。導入量の多いデンマーク、ドイツ、スペイン、アイルランドでは電気代が高い。導入量の少ないフランスとノルウェーでは電気代が低い。

太陽光発電と風力発電を導入するほど、電気代は上がってゆくことになる。「100%再エネ」になると、いったいどこまで上がるのだろうか?

クリックするとリンクに飛びます。

「脱炭素」は嘘だらけ

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 改正された原子炉等規制法では、既存の原発に新基準を適用する「バックフィット」が導入されたが、これは憲法の禁じる法の遡及適用になる可能性があり、運用には慎重な配慮が必要である。ところが原子力規制委員会は「田中私案」と称するメモで、すべての原発に一律にバックフィットを強制したため、全国の原発が長期にわたって停止されている。法的には、安全基準への適合は運転再開の条件ではないので、これは違法な行政指導である。混乱を避けるためには田中私案を撤回し、新たに法令にもとづいて規制手順を決める必要がある。
  • 去る2024年6月11日に米下院司法委員会が「気候変動対策:環境、社会、ガバナンス(ESG)投資における脱炭素化の共謀を暴く」と題するレポートを公開しました。 New Report Reveals Evidence of
  • 岸田首相肝いりの経済対策で、エネルギーについては何を書いてあるかと見てみたら、 物価高から国民生活を守る エネルギーコスト上昇への耐性強化 企業の省エネ設備導入を複数年度支援▽中小企業の省エネ診断を推進▽断熱窓の改修や高
  • 再生可能エネルギーの導入拡大に向けてさまざまな取組みが行われているが、これまでの取組みは十分なものといえるのだろうかというのが、今回、問題提起したいことです。そのポイントは以下のようになります。
  • 女児の健やかな成長を願う桃の節句に、いささか衝撃的な報道があった。甲府地方法務局によれば、福島県から山梨県内に避難した女性が昨年6月、原発事故の風評被害により県内保育園に子の入園を拒否されたとして救済を申し立てたという。保育園側から「ほかの保護者から原発に対する不安の声が出た場合、保育園として対応できない」というのが入園拒否理由である。また女性が避難先近くの公園で子を遊ばせていた際に、「子を公園で遊ばせるのを自粛してほしい」と要請されたという。結果、女性は山梨県外で生活している(詳細は、『山梨日日新聞』、小菅信子@nobuko_kosuge氏のツイートによる)。
  • 大型原子力発電所100基新設 政府は第7次エネルギー基本計画の策定を始めた。 前回の第6次エネルギー基本計画策定後には、さる業界紙に求められて、「原子力政策の180度の転換が必要—原子力発電所の新設に舵を切るべし」と指摘
  • さて、繰り返しになるが、このような大型炭素税を導入する際、国民経済への悪影響を回避するため、税制中立措置を講じることになる。
  • 最新鋭の「第3世代原子炉」が、中国で相次いで世界初の送電に成功した。中国核工業集団(CNNC)は、浙江省三門原発で稼働した米ウェスチングハウス(WH)社のAP1000(125万kW)が送電網に接続したと発表した。他方、広

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑