電気代は再生可能エネルギー導入量に比例する
太陽光発電と風力発電はいまや火力や原子力より安くなったという宣伝をよく聞くが、実際はそんなことはない。
複数の補助金や規制の存在が本当のコストを見えにくくしている。また火力発電によるバックアップや送電線増強のコストも、その存在は分かりにくい。
そこで再生可能エネルギーの真のコストを知るためには、その導入量と、電気代を全体として比較してみるのが一つの方法になる。
下図は欧州諸国の間でその比較をしたもの。横軸は一人当たりの太陽光発電と風力発電の導入量(ワット)である。縦軸は家庭の電気料金である。データは2016年のもの。
これを見ると、太陽光発電と風力発電の導入量と、電気代は比例関係にあることが分かる。導入量の多いデンマーク、ドイツ、スペイン、アイルランドでは電気代が高い。導入量の少ないフランスとノルウェーでは電気代が低い。
太陽光発電と風力発電を導入するほど、電気代は上がってゆくことになる。「100%再エネ」になると、いったいどこまで上がるのだろうか?
■
関連記事
-
第6次エネルギー基本計画の検討が始まった。本来は夏に電源構成の数字を積み上げ、それをもとにして11月のCOP26で実現可能なCO2削減目標を出す予定だったが、気候変動サミットで菅首相が「2030年46%削減」を約束してし
-
経済産業省は東電の原子力部門を分離して事実上の国営にする方向のようだが、これは順序が違う。柏崎刈羽原発を普通に動かせば、福島事故の賠償や廃炉のコストは十分まかなえるので、まず経産省が今までの「逃げ」の姿勢を改め、バックフ
-
田中 雄三 要旨 世界の温室効果ガス(GHG)排出量が顕著に減少する兆しは見えません。 現状、先進国のGHG排出量は世界の約1/3に過ぎず、2050年世界のGHGネットゼロを目指すには、発展途上国のGHG削減が不可欠です
-
「もしトランプ」が大統領になったら、エネルギー環境政策がどうなるか、これははっきりしている。トランプ大統領のホームページに動画が公開されている。 全47本のうち3本がエネルギー環境に関することだから、トランプ政権はこの問
-
福島第一原子力発電所の事故を教訓に民主党政権下で発足した、原子力規制委員会と原子力規制庁。独立性確保の名目の下で与えられた巨大な権力を背景に、その行政活動は明らかにおかしい。法律の無視、そして科学的分析を欠いた恣意的な規制を繰り返す。
-
日本は世界でもっとも地震の多い国です。東海地震のリスクが警告されている静岡を会場に、アゴラ研究所はシンポジウムを開催します。災害と向き合う際のリスクを、エネルギー問題や環境問題を含めて全体的に評価し、バランスの取れた地域社会の在り方を考えます。続きを読む
-
英国のグラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催されている。 脱炭素、脱石炭といった掛け声が喧しい。 だがじつは、英国ではここのところ風が弱く、風力の発電量が不足。石炭火力だのみで綱渡りの電
-
夏の電力不足の対策として、政府が苦しまぎれに打ち出した節電ポイントが迷走し、集中砲火を浴びている。「原発を再稼動したら終わりだ」という批判が多いが、問題はそう簡単ではない。原発を動かしても電力危機は終わらないのだ。 電力
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間