大分、岡山、山口・・CO2ゼロで経済崩壊ランキング

leodaphne/iStock
日本政府はCO2を2030年までに46%減、2050年までにゼロにするとしている。
前回、このような極端なCO2削減策が、太平洋ベルト地帯の製造業を直撃することを書いた。
今回は、特にどの県の経済が危機に瀕しているかを示そう。
図は、
縦軸: 県民総生産当たりのCO2排出量
横軸: 県民総生産当たりのエネルギー消費量
である。
県民総生産とは、その県のGDPであり、県の経済規模を表す指標である。つまり国民総生産GDPの県民バージョンだ。
まず第1に分かることは、ほぼ一直線上にデータが並んでいること。すなわち、CO2排出量とは、エネルギー消費量とほぼ同義であることを意味している。
つまりCO2を減らすとなると、エネルギー消費を減らさねばならない。既存の工場ではその技術的手段は限られるから、大幅にCO2を減らしたければ、最後は生産活動を止めるしかない。
そして第2に分かることは、県によって、大きな違いがあることだ。
縦軸の「県民総生産あたりのCO2排出量」は、図を読むと以下のようになっている(単位はトンCO2/百万円):
1位 大分 6.7
2位 岡山 6.0
3位 山口 6.0
・・・
最下位 東京 0.7
トップの大分では6.7であるのに対して、最下位の東京は0.7なので、10倍も開きがある。
大分で「県民総生産あたりのCO2排出量」が大きい理由は、製造業が発展しており、それに頼った経済になっているからだ。
CO2を急激に減らすとなると、大分、岡山、山口では、工場は閉鎖され、経済は大きな打撃を受けることになるだろう。
4位以下もリストにしておこう
4位 和歌山
5位 広島
6位 愛媛
7位 千葉
8位 茨城
・・・
以上の県の人々は、これから自らの経済がどうなってしまうのか、よく考えるべきだ。そして、菅政権の下で進む無謀なCO2削減策に対して異議を唱えるべきだ。

関連記事
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。 今週のアップデート 1)日本変革の希望、メタンハイドレートへの夢(上)-青山繁晴氏 2)
-
6月27日から30日にかけて、東京電力管内では広域ブロック予備率が5%を切る時間帯が生じると見込まれ、政府より「需給ひっ迫注意報」が発出された。SNS上では「かつてはこのようなことは起きなかった」「日本の電力の安定供給体
-
COP28に参加して強く感じたことは「すでに破綻している1.5℃目標に固執することは、世界にとって決して良い結果をもたらさない」ということであった。特に1.5℃目標、2050年カーボンニュートラルからの逆算ですべてを律す
-
前回、防災白書が地球温暖化の悪影響を誇大に書いている、と指摘した。今回はその続き。 白書の令和2年度版には、「激甚化・頻発化する豪雨災害」という特集が組まれている。これはメディアにもウケたようで、「激甚化・頻発化」という
-
運転禁止命令解除 原子力規制委員会は27日午前の定例会合において、東京電力ホールディングスが新潟県に立地する柏崎刈羽原子力発電所に出していた運転禁止命令を解除すると決定した。その根拠は原子力規制委員会が「テロリズム対策の
-
1. 洋上風力発電は再エネ発電の救世主だったはず?? 図1は、東北電力エリア内の2025年1月31日の太陽光発電と風力発電の実績値(30分間隔)です。横軸は24時間、縦軸は発電量(MW)です。太陽光発電の発電量は赤線で示
-
日経新聞によると、経済産業省はフランスと共同開発している高速炉ASTRIDの開発を断念したようだ。こうなることは高速増殖炉(FBR)の原型炉「もんじゅ」を廃炉にしたときからわかっていた。 原子力開発の60年は、人類史を変
-
直面する東京電力問題において最も大切なことは、1.福島第一原子力発電所事故の被害を受けた住民の方々に対する賠償をきちんと行う、2. 現在の東京電力の供給エリアで「低廉で安定的な電気供給」が行われる枠組みを作り上げる、という二つの点である。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間