大分、岡山、山口・・CO2ゼロで経済崩壊ランキング

2021年05月18日 07:00
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

leodaphne/iStock

日本政府はCO2を2030年までに46%減、2050年までにゼロにするとしている。

前回、このような極端なCO2削減策が、太平洋ベルト地帯の製造業を直撃することを書いた。

今回は、特にどの県の経済が危機に瀕しているかを示そう。

は、
縦軸: 県民総生産当たりのCO2排出量
横軸: 県民総生産当たりのエネルギー消費量
である。

県民総生産とは、その県のGDPであり、県の経済規模を表す指標である。つまり国民総生産GDPの県民バージョンだ。

まず第1に分かることは、ほぼ一直線上にデータが並んでいること。すなわち、CO2排出量とは、エネルギー消費量とほぼ同義であることを意味している。

つまりCO2を減らすとなると、エネルギー消費を減らさねばならない。既存の工場ではその技術的手段は限られるから、大幅にCO2を減らしたければ、最後は生産活動を止めるしかない。

そして第2に分かることは、県によって、大きな違いがあることだ。

縦軸の「県民総生産あたりのCO2排出量」は、図を読むと以下のようになっている(単位はトンCO2/百万円):

1位  大分  6.7
2位  岡山  6.0
3位  山口  6.0
・・・
最下位  東京  0.7

トップの大分では6.7であるのに対して、最下位の東京は0.7なので、10倍も開きがある。

大分で「県民総生産あたりのCO2排出量」が大きい理由は、製造業が発展しており、それに頼った経済になっているからだ。

CO2を急激に減らすとなると、大分、岡山、山口では、工場は閉鎖され、経済は大きな打撃を受けることになるだろう。

4位以下もリストにしておこう

4位  和歌山
5位  広島
6位  愛媛
7位  千葉
8位  茨城
・・・

以上の県の人々は、これから自らの経済がどうなってしまうのか、よく考えるべきだ。そして、菅政権の下で進む無謀なCO2削減策に対して異議を唱えるべきだ。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 途上国の勝利 前回投稿で述べたとおり、COP27で先進国は「緩和作業計画」を重視し、途上国はロス&ダメージ基金の設立を含む資金援助を重視していた。 COP27では全体決定「シャルム・エル・シェイク実施計画」、2030年ま
  • 自治体で2050年迄にCO2排出をゼロにするという宣言が流行っている。環境省はそれを推進していて、宣言をした自治体の状況を図のようにまとめている。宣言した自治体の人口を合計すると7000万人を超えるという。 だがこれらの
  • 地球温暖化は米国では党派問題である。民主党支持者は「気候危機だ、今すぐ大規模な対策が必要」とするが、共和党支持者は「たいした脅威ではなく、極端な対策は不要」とする。このことは以前述べた。 さて米国では大手メディアも党派で
  • 「もんじゅ」以降まったく不透明なまま 2016年12月に原子力に関する関係閣僚会議で、高速原型炉「もんじゅ」の廃止が決定された。それ以来、日本の高速炉開発はきわめて不透明なまま今に至っている。 この関係閣僚会議の決定では
  • 今週、ドイツ最大の週刊紙であるDie Zeit(以下、ツァイトとする。発行部数は100万部をはるかに超える)はBjorn Stevens(以下、スティーブンス)へのインタビューを掲載した。ツァイトは、高学歴の読者を抱えて
  • パリ協定が合意される2か月前の2015年10月、ロンドンの王立国際問題研究所(チャタムハウス)で気候変動に関するワークショップが開催され、パネリストの1人として参加した。欧州で行われる気候変動関連のワークショップは概して
  • エネルギー危機が世界を襲い、諸国の庶民が生活の危機に瀕している。無謀な脱炭素政策に邁進し、エネルギー安定供給をないがしろにした報いだ。 この年初に、英国の国会議員20名が連名で、大衆紙「サンデー・テレグラフ」に提出した意
  • 規制委の審査、判断の過程はそれによって不利益を受ける側の主張、立証の機会が法律上、手続的に保障されていないのである。従って規制委ないしは有識者会合において事業者側の資料の提出を受けつけなかったり、会合への出席や発言も認めなかったりしても形式上は何ら手続き違反とはならないという、おかしな結果になる。要するに対審構造になっていないのである。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑