捏造が発覚 CO2による海洋酸性化の研究
地球温暖化によってサンゴ礁が失われるとする御用科学の腐敗ぶりを以前に書いたが、今度は別のスキャンダルが発覚した。
「CO2濃度が上昇すると魚が重大な悪影響を受ける」とする22本の論文が、じつは捏造だったというのだ。
報じたのはサイエンス(英文)。ネイチャーと並ぶ2大雑誌だ。「サンゴ礁御用科学」を批判し訴訟で係争中のピーター・リッドが解説をしている(英文)。
捏造をしたと告発されたのはサンゴ礁研究に関する権威であるジェームズクック大学(JCU)のフィリップ・マンデイ教授のグループ。
マンデイ教授らの一連の論文(ネイチャー、サイエンスなど有名誌を含む)では、CO2濃度が上がり、今世紀末に予測される水準になると、サンゴ礁の魚に以下の様な悪影響が及ぶとされた。
- 捕食者の匂いを嗅ぐ能力を失い、逆に捕食者に引き付けられる
- 過剰に活発になる
- 視力が低下する
ティム・クラークは、これは重要な発見だと驚いた。しかしながら、追試したところ、全く再現できなかった。
不審に思ってマンデイの書いた論文を調べたところ、明らかなデータの捏造が幾つも見つかった。別の魚の実験の筈なのに、全く同じ測定値が繰り返し現れていたのだ。
クラークは他の6名の研究者とともに捏造を告発した。
お決まりのパターンだが、「権威ある研究者」はこぞって告発者であるクラークらを攻撃した。
特筆すべきは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で環境影響評価を担当する第2部会の共同議長を務めているドイツ人のハンス・オットー・ペルトナーの発言だ。
「そのような論争がコミュニティの外に出ると、コミュニティ全体が信頼を失うので有害である」
もはや科学的な真偽はどうでも良いようだ。
因みにマンデイ教授の疑惑はこれだけではない。グループの1人であるスウェーデン人のロンステットは、マイクロプラスチックが魚の行動に影響を及ぼし、捕食者に食べられやすくなることを「発見」した。しかし、これをおかしいと思ったクラークら7人は、ロンステットの仕事が捏造であったことを証明し、ロンステット論文は撤回された。
クラークによるマンデイ教授の告発が今後どのような帰結になるか、関連機関の対応が注目される。
地球温暖化の海洋生態系への環境影響研究は、深刻な問題を抱えているようだ。
■
関連記事
-
電気が足りません。 電力緊急事態 理由その1 寒波による電力需要増大 理由は二つ。 まず寒波で電力需要が伸びていること。この寒さですし、日本海側は雪が積もり、太陽光の多くが何日間も(何週間も)“戦力外”です。 こうしたk
-
「ブラックアウト・ニュース」はドイツの匿名の技術者たちがドイツの脱炭素政策である「エネルギーヴェンデ(転換)」を経済自滅的であるとして批判しているニュースレター(ドイツ語、一部英語、無料)だ。 そのブラックアウト・ニュー
-
菅首相の16日の訪米における主要議題は中国の人権・領土問題になり、日本は厳しい対応を迫られると見られる。バイデン政権はCO2も重視しているが、前回述べた様に、数値目標の空約束はすべきでない。それよりも、日米は共有すべき重
-
日本の原子力規制委員会(NRA)は、アメリカの原子力規制委員会(NRC)と同じ名前を使っています。残念ながら、その中身は大きく違います。
-
前回、「再エネ100%で製造」という(非化石証書などの)表示が景品表示法で禁じられている優良誤認にあたるのではないかと指摘しました。景表法はいわばハードローであり、狭義の違反要件については専門家の判断が必要ですが、少なく
-
地震・津波に関わる新安全設計基準について原子力規制委員会の検討チームで論議が進められ、その骨子が発表された。
-
先日のTBS「報道特集」で「有機農業の未来は?」との特集が放送され、YouTubeにも載っている。なかなか刺激的な内容だった。 有機農業とは、農薬や化学肥料を使わずに作物を栽培する農法で、病虫害に遭いやすく収穫量が少ない
-
先週、アップルがEV開発を中止するというニュースが世界中を駆け巡りました。EVに関してはベンツも「30年EV専業化」戦略を転換するようです。国レベルでも2023年9月に英スナク首相がEV化を5年遅らせると発表しました。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間