専門家が言うように、「若者は高齢者にコロナをうつしている」を完全否定する

2021年01月13日 14:00

コロナの感染拡大がニュースになり、成人式で大暴れした若者を「お前らのせいで感染が広がり高齢者が死ぬんだ」という人に違和感を覚えます。

特にテレビに出てくる専門家がエビデンスも無しに平気でコレを言うと、「この人はみんな印象で言ってるだけでエビデンスも何もないのかもしれない」と感じます。高齢者層と若者層の分断はマーケティング的には常識であり、コロナ禍になって急に若者と高齢者が交流しはじめたわけがない。それなのにテレビに出てくる専門家は全員が口を揃えて「若者が感染を広げて高齢者にうつす」という。これは現実的にあり得るのだろうか。

若者の感染者数の増加 = 高齢者にうつすということにはならない

マスコミの標準的な報道

静岡県内116人感染 年末年始、若者から拡大か【新型コロナ】

同市保健予防課の杉山智彦課長は「年末から年始にかけて若い人が活発に動き、感染を広めていることも十分考えられる」と分析する。

十分考えられるって・・・それはあなたの感想でしょ!!

と思うわけです。まったく分析じゃないじゃん。テレビの専門家もみんな同じ事を言います。そして首長も

東京医師会の会長
「高齢者はマスクで外出を」都医師会
若者は家にいろ!ハイリスクの高齢者は出かけろ。この人、本当に医者なのか?マスクで感染が防げる?
高齢者に媚びるのもいい加減にしろ!

しかし、マーケティングの世界では日本では高齢者層と若者が分断しているのはデータ的に明らかです。

新型コロナ 高齢者感染「家庭内」と「施設内」で8割近くに

高齢者の感染は、「家庭内」と「施設内」で8割。これをもとにまずは家庭内感染で若者が高齢者にうつすことがあるのか解析してみる。


全国で見るとここ30年で、単独世帯と夫婦のみの世帯が急増したのが分かる。2つ併せて全体の半分です。
そして夫婦と未婚の子の家族が3割。なんと3世代世帯は5.9%しかいない。これは平成28年だから、5年後のいまは確実に5%を切っているはずだ。
いったい家族でもない高齢者と長時間に渡って大声で若者が話すことがどれだけあるというのか。

東京だけだろうと思っている人も多いが

北海道は全国平均よりずっと3世代家族が少ない。東京と大差ない。しかも単身(絶対人数的には高齢者)が一番多いから気軽に飲みに行く。大阪も兵庫も一都三県も、つまり感染者の比率が高いところはみんな3世代同居が少ないのである。


この、人口あたりの感染者数がおおいところと、上のグラフを照らし合わせたら分かるが、むしろ若者と同居している率が高いほど感染率が低い。岩手、山形、福井、鳥取、島根、佐賀あたりは3世代同居が多いが、感染率はむしろ低いランキングである。

若者と同居が多い地域のほうが感染率は低い

というのは、明白なのである。仮説を立てるとすると、単身高齢者や高齢夫婦のみ世帯の場合、誰にも気を遣わなくて良いので気軽に出歩いているということではないか。これは若者も高齢者も同じなのだ。若者のせいにするのはいい加減にしてもらいたい。ちなみに第3波で高齢者に感染者が増えた理由の明確なデータがある。

第2波では若者に感染が広がったが高齢者が自粛していたので重症は少なかった。しかし第3波ではリスクの高い高齢者が出歩いたので高高感染が広がったと考えて間違いないと思います。

高齢者施設で働く若者が感染を広げる

そういうと、病院や高齢者施設で働く若者が出歩いて感染して高齢者にうつすというまたまたファクトにないことをおっしゃる専門家もいる。

逆に聞きたいが、これはいまの看護士さんたちは、遊びたい盛りなのに必死に我慢して旅行や食事にも行かず、頑張って働いている。こうした決めつけは彼女、彼たちに対する冒涜ではないのか。

介護施設で若い人が働いているということについては

介護職の深刻な高齢化が調査で判明!20代の職員はわずか1%、50代以上が73%を占めるという結果に

4月24日に全国労働組合総連合(全労連)が公表した『介護労働実態調査報告書』において、訪問介護に従事する介護職員(ホームヘルパーやサービス提供責任者)のうち、20代はわずか1.0%しかいないという実態が明らかにされました。全体の平均年齢は55.5歳で、50歳以上が全体の73.0%、60歳以上でも37.7%と約4割に上っています。

介護職の7割以上が50歳以上

ということ。入所介護施設においても

全労連の調査結果によると、入所・通所施設で介護職員として働く人のうち、50代以上の職員は全体の36.9%と4割近くを占めています。対して、20代の職員は20~24歳が4.0%、25~29歳が6.9%で、合計10.9%に過ぎません。中高卒業後に新卒として就労する10代の職員はわずか0.4%です。

と、20代は10%しかおらず、成人式を迎える10代は0.4%しかいない。高齢者施設にはそもそも若い人たちがいないのだ。

どう考えても、高高感染、若若感染がメイン

であるのは明らかで、施設内のクラスターとなるのはウイルス放出量から見ても中高年のスタッフでしょう。施設内感染のクラスターの記事をいくつか探したが若い職員からの感染はほとんど見つけられなかった。

つまり簡単に図にすると、高齢者と若者の行動はこんな感じなのだ。

どうして政治家や医療従事者は若者のせいにするのか

理由を考えてみた。

1 自分が高齢者と接する機会が多いので若者もそうだと誤認している

これはかなりありそう。政治家の事務所や病院に押しかけてくるのはほとんど高齢者だから、いつも高齢者に囲まれている。だから普通の若者も高齢者と話し込む機会が多いと思っているのではないか。しかし現実はそんなケースは非常に稀である。現実に居酒屋で高齢者と長時間話し込む若者など見たこともない。高齢者は高齢者同士で大声で喋り、若者はヤンキーは大声出すのだろうがそんな店には行かないので自分が行くような店では静かにしている。ww 逆にヤンキーがたくさん集まる店には高齢者はいかないだろう。

2 有権者として高齢者しか見ていない

これは政治家に多いと思う。とにかく若者のせいにしておけば問題がない。高齢者に出歩くなというと「足が衰えたらどうする」「老後の楽しみを奪うな」と反発されるが、若者のせいにしておけば政治家としてはとりあえず若者との接点がないから何も言われない。これは非常に狡いと思う。

自分は高齢者に半分足を突っ込んでいる年代だが、次世代のせいにして自分はのうのうとする爺いには絶対なりたくない。リスクの高い高齢者はなるべく家にいてもらい、健康な若者が経済を回す。でなければ年金も健康保険料も払えないではないか。あまりに次世代に責任をおいかぶせるような偏見は慎んで頂きたいと思う。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2021年1月12日の記事より転載させていただきました。

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