日本経済を破壊するのはコロナウイルスではなくコロナ脳
日本経済は危機だが、ここから脱却することは原理的にはむずかしくない。今回のコロナ不況は100%行政の介入による自粛や休業要請で作り出されたものだから、行政が介入から撤退すれば不況も終わる。問題は撤退が政治的にむずかしいことだ。
これは各国のネット世論調査で「コロナ感染が恐い」と答えた人の比率だが、4月から日本がほぼ一貫して首位で、80%近い人が「非常に恐い」または「かなり恐い」と答えている。
現在の日本の感染者は累計で約6万人(人口の0.05%)だが、その1600倍の人が感染を心配しているわけだ。この数字はコロナ死亡率が日本より2桁多いEU諸国の2倍近い。
主要国でもっとも被害の少なかった日本で、コロナを恐れる「コロナ脳」がもっとも多い原因は、マスコミが毎日「コロナが恐い」という報道を続けているからだ。これが経済の萎縮する最大の原因である。
だから「コロナを撲滅したら経済はV字回復する」というのは錯覚である。ウイルスはゼロにできないので、マスコミが「きょうの感染者数」を報じるかぎりコロナ脳は騒ぎ、経済は萎縮する。日本のコロナ問題はウイルス感染ではなく、マスコミの作り出した情報災害(infodemic)なのだ。
逆にいうとウイルスが残っていても、コロナ脳が消えれば経済は回復する。たとえば100年前のスペイン風邪のウイルス(H1N1)は今も季節性インフルとして残っており、毎年1000万人以上が感染するが、人々はインフルを恐れて自粛しない。
コロナ脳を撲滅するには「指定感染症」をはずす必要がある
だから必要なのはコロナウイルスを撲滅することではなく、コロナ脳を撲滅することだ。情報災害を止める最強の対策は情報操作である。手っ取り早いのは、政府がワイドショーの放送を禁止することだろう。そういう対策のとれる中国では、コロナの経済被害はいち早く回復した。
中国の累計感染者数は、図のように2月下旬からずっと約9万人で、今までまったく増えていない。これがうらやましいと思う人もいるようだが、日本では幸か不幸かそういう報道統制も統計操作もできない。
残された対策は政府が「コロナ収束宣言」を出すことだが、まだ感染者が毎日数百人出ている状況で、それは政治的に不可能だ。それに代わる手段が指定感染症の指定解除である。今はエボラ出血熱と同じ「一類相当」になっており、これをインフルと同じ五類に格下げすることが実質的な収束宣言になる。
しかし加藤厚労相は維新の国会質問に「解除は検討していない」と答弁した。実際には検討しているだろうが、そう答えると「対策の手をゆるめるのか」とコロナ脳に攻撃されるからだ。
だが問題を先送りしていると、秋からコロナとインフルの合併した大流行が始まるおそれがある。コロナの症状も寒くなると重症化するので、負担が感染症指定医療機関に集中する。インフルで一般病院に来た患者が検査で陰性になっても、指定感染症の検査が必要なので、インフル患者も指定医療機関に殺到し、医療現場は大混乱になるだろう。
マスコミが騒ぐ大義名分は、政府がコロナを指定感染症に指定して「特別の感染症」と位置づけているからだ。それをやめてインフルと同じ「普通の感染症」にすれば、毎日コロナ感染者が報じられることもなくなり、コロナ脳も消えてゆくだろう。それが最大の経済対策である。
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