コロナインフォデミックの戦犯たち(最終回) 今、国家リーダーが収束させる時
『コロナインフォデミックの戦犯たち①オウンゴールの構図』
『コロナインフォデミックの戦犯たち②メディアの亡国、罪と罰(1)』
『コロナインフォデミックの戦犯たち③不可解な動機 メディアの亡国、罪と罰(2) 』
『コロナインフォデミックの戦犯たち④専門家の無責任という酷薄』
『コロナインフォデミックの戦犯たち⑤国民SNS砲の破壊力』
上記5回記事に続く。今回最終回。
最終回まで随分と時間が空いてしまった。連載と言うからには読んでいただく方が前回までの記事を記憶してくださっている間にテンポ良く書かせていただくべきだったかもしれない。
ただここにきて、どうにも暗澹たる気分の重さが募り、どう書いてもその怒りを通り超えた”やるせなさ”が表現できそうになく筆が進まなかったというのが偽らざる心境だ。
相かわらずメディアも小池都知事などポピュリスト政治家も”感染者数”などというわけのわからぬ指標でコロナ煽り第2弾に余念がない。そもそもコロナウイルスが流行していることは初手から自明で、市中に一定の感染者がいることは4月の時点からすでに言われていた。
「一般の患者6%陽性」、高い市中感染率をデータが示唆 厚労省が抗体、抗原検査で流行状況把握へ
検査数を増やして流行拡大と煽る行為は非科学的を通りこしてアホとしか言いようがない。肝心なのはそのウイルス流行が健康被害をもたらすのか?ということで考えれば、少なくとも日本において、死者数累計1010名は、インフルエンザなど他の疾病や自動車事故などと比べても冷静に受け止めるべき数字である。まして日本人の生活自滅活動に国をあげて邁進する理由があるはずもない。
我々は、日本人に垂らされた「蜘蛛の糸」を、自ら断ち切ってしまうのだろうか
日本人は、幸運なことに新型コロナウイルスで欧米諸国に比べて死ににくいという「蜘蛛の糸」を手にしていたのだ。にも関わらず自ら徒(いたずら)にパニックに陥り、今まさに奈落に堕ちようとしている。少なくとも日本で「パンデミック」は起きなかったが、「インフォデミック」のオウンゴールで致命的なダメージを受けようとしている。
新型コロナウイルスの恐怖ばかりにとらわれている人たちは、現代日本の繁栄がたかだか戦後75年。しかも当初は奇跡とさえ自他ともに感じた努力と僥倖の上に成り立っていることを忘れている。当時と違うのは、隣国中国の台頭、少子高齢化もあり、今度ばかりは国家として再浮上することがそう簡単ではないかもしれないことだ。
まして、これから季節が変わりインフルエンザのシーズンとなれば新型コロナウイルスに感染していなくても高熱を発する人が大量発生するわけで、日本では相変わらずコロナウイルス自体で重症化、死亡する人は多くないに違いないが、医療機関の大混乱必至。「コロナ・インフォデミック」は佳境を迎える他ない。
これで暗澹としなければ何で暗澹とするのだろうか。
68倍のSNS発信量に面喰らってしまった政治家たち
相変わらず、日本における「コロナ・インフォデミック」生成のメカニズムは、堅牢かつ活発だ。
エンジンである「メディア」と「(テレビ出演好きの)専門家」は、阿吽の間合いでエンジンを快調にふかしている。さらにネット時代ならではの「一般市民」もSNSのターボーチャージャーで「コロナ・インフォデミック」の出力最大化に貢献している。
本来であれば、「政治家」の他に、この暴走するこのクルマを制御する立場はいないが、自動運転の巡航ドライブを悠然と楽しんでいたところからの突然の加速に面喰ってしまい、ハンドルを右に左に、アクセルとブレーキを同時に踏んでしまったり、端から見ていても心もとないことこの上ない。
「インフォデミック」という視点で見れば「政治家」たちは、かつて経験したことがない状況に面食らってしまったのだ。
SNSを通して押し寄せた市民の声の激しさと想定外の量(2003年SARS比68倍)の奔流は歴史上のいかなる為政者も経験したことのないものだ。
情報パンデミックの拡散力、SARSの68倍 新型コロナ(日経新聞)
だが一方で「インフォデミック」を止められるのが、「民主的な選挙」というパーフェクトではないだろうけれども人類が長い歴史をかけてたどり着いたよりマシな制度で選ばれた、国家の正当性あるリーダーしかいないこともまた事実である。
興奮状態のクラスを一喝して鎮めるのがリーダーの役割
何も難しいことではない。状況は混沌としているようだが、算数や数学の複雑な問題を解くときにやるように単純な構造やモデルにまずは置き替えて考えてみよう。
教室は未知のウイルスの気配に騒然として今やパニック状態だ。授業も部活も学生らしい活動をみんな放り出して半年近く。みなひどくおびえてしまって、中には恐怖心のあまり仲間を小突き回す連中まで出てきてしまった。さあ今こそクラスのリーダーがなんとか収束を図る場面だ。
確かにこの騒動をここまでヒドイ状態にしたのは、放送委員と保健委員のあの二人だったかもしれない。興奮し面白おかしく騒ぎ立て、クラスのみんなを恐怖のパニック状態に陥れて嬉々としている。心底軽蔑すべき輩ではあるが、どこにでもお調子者はいるし、彼らは自分たちの鼻息ほどみなから信頼されているわけではない。
残念だったのは、当初、クラスで一番頭の良い集団であるはずの科学部員たちに意見を求めたけれど、彼らはとにかく外に出るなの一点張り。その専門知識でリスクを滔々の述べるだけで、永遠にこうしているわけにはいかないクラスメイトの事情や心境、体調。そもそも教室でこもってジッとしているだけでは飢えて死ぬだけで、結局は問題解決にならないということにまで思いが至らなかったことだ。だがそんな彼らにも、ようやくにして、ただならぬ弱り具合の仲間の様子を見て、より現実的な策を提言しようという機運が生まれつつあるようだ。
教室の片隅を見渡せば、最初から「脅威を過大評価するな。外に出なければ体力を奪われて結局やられる」と正論を吐くものもいたのだが、悲しいかな所詮は多勢に無勢、パニック状態の狂乱を正気に戻すことはできなかった。
今や、クラス全員の視線が学級委員長にむいている。この事態の最初には、初めての状況とクラスのみんなのパニックぶりに面喰らって動揺した様子だったけれど、ようやく少し落ち着きを取り戻したようだ。
そう今こそクラスのリーダーが、この状況に終止符を打つべきなのだ。
みなを鎮めるべき、そしてその気になれば、鎮められる立場にいるのは彼なのだから。
「こういうときに政治家がドンと言っちゃえばいい」
相かわらず”たけし”は、世の中の気分をすくい取って端的だ。
ビートたけし、感染防止と経済の両立に「こういうときに政治家がドンと言っちゃえばいい」(スポーツ報知)
「こういうときに政治家がドンと言っちゃえばいい」
私も同じ意見だ。インフォデミックは所詮インフォデミック。パニック心理がおさまってしまえば、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』だ。
不幸にして亡くなった方もいるが、生身の人間にゼロリスクはありえない。人が亡くなるとすべての議論を不謹慎と封印し、いつまでもナイーブになっている場合ではまったくない。
まだまだ新型のウイルスは今後も出現する。我々の子世代以降も戦い抜く国家としての体力涵養こそ重要な局面に、君子豹変、安倍総理の覚醒を期待する。
*あわせて筆者の個人サイト「たんさんタワー」でも、コロナ関連の考察をしていますのでぜひお読みください。
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