コロナインフォデミックの戦犯たち③ 不可解な動機 メディアの亡国、罪と罰(2)

2020年05月30日 06:00
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ブランドプロデューサー

コロナインフォデミックの戦犯たち①オウンゴールの構図
コロナインフォデミックの戦犯たち②メディアの亡国、罪と罰(1)

上記2回記事に続く。

しなくても良かった「緊急事態宣言」で、今後日本人が失われた30年に続く、さらに数十年を過ごすことになると考えると暗澹たる気分しかない。

せめて恐怖心やパニックを招かない報道に少しばかりの配慮があれば、少なくとも日本においてはもう少し穏当な選択もあったと考えると返す返すもやり切れなく、今回はそんなメディアの暴走を牽引したテレビ、特に朝のワイドショーを中心に、そのあまりに不可解な動機について考えてみたいと思う。

写真AC

動機仮説①  陰謀論

陰謀論はある意味オールマイティーだ。想像力があれば何でも陰謀論に仕立てることができてしまう。それゆえに採用には慎重であるべきと思う。一方で、陰謀に近い現実を目の当たりにすることもまったくないわけではなく、陰謀など絶対に起こり得ないと断言することもできない。

筆者自身は、少なからずのテレビ局との付き合いの中で陰謀の痕跡を見聞きしたことはなく現時点で陰謀論を採ることはできない。しかしながら、例えば外国政府が意図をもって工作するとすれば放送局は一番の攻略先であろう。今回徹底した恐怖訴求で、実際に壊滅的な緊急事態宣言発令にまで持ち込んだ執拗さはかなり異様でもあった。

もしそれを意図的に主導する者があるとすれば外国政府に他なかろう。実際に彼らは弱った日本企業をハイエナしようと手ぐすね引いているし、中国は尖閣諸島への接近を繰り返している。ゆえに、陰謀論は排除せず少なくとも警戒心をもち監視していく必要がある。

(個人サイト「たんさんタワー」で陰謀論について考察していますので、よろしければあわせてお読みください。

陰謀論のやっかいなところ』 )

動機仮説②  利益追求説

視聴率が利益なのは確かにそうである。視聴率を指標化したGRPという単位で広告枠が取引される関係上、視聴率アップがテレビ局の売り物を増やし総収入アップにつながることは一般論として正しい。実際にテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」はコロナ以降視聴理を伸ばし、特に緊急事態宣言以降13.6%(4/13)、13.1%(4/29),14.1%(5/4)<世帯視聴率関東:ビデオリサーチ>好視聴率をタタキ出している。

だが制作現場という視点で厳密に利益増にモチベーションがあるかと言えば疑問だ。マスメディアの世界には根強く「編集権の独立」という考え方があり、営業的な理由で編集内容を左右されないという原則がとられてきた。もちろんこれはこれで放送内容の自由を担保する上で結構なことではあり、世の中が思うほど広告主が放送内容に影響を及ぼすことなどできない理由でもある。

逆にそんな原則に守られているからこそ、長年制作現場でキャリアを形成する人は、驚くほどビジネス感覚に疎い。接した実感として、非常識人と断定して言い過ぎでないような人種がとても多いのである。

むしろ今回の状況で言えば、制作現場は相かわらずの抽象化された視聴率競争にばかりこだわっており、テレビ局自体を支えているクライアント企業や日本経済にとんでもなく壊滅的なダメージを与え、自社の業績にも深刻な事態を与えていることさえ骨身に感じていないのでないかと推察される。 

動機仮説③  組織・構造説

私の考える主要な原因であり、「強さ」と「弱さ」の両面がある。

情報番組が物議を醸しているテレビ朝日(編集部撮影)

「強さ」

要は怖いモノがないということである。テレビ局はホリエモンや孫正義・マードックなどツワモノの買収攻勢もお得意の政治力を使ってはね返してきた。親会社の新聞社からして資本関係の独立に最も精力を使ってきた成果で、経営、人事の独立をメディアグループとしてみれば大きく実現している。

そんな環境もあり、経営陣も株主に気を使う必要はまったくなく、社員受けする方が自分の地位に貢献するわけだから、視聴者から多少のクレームがあったからといって制作現場の機嫌を損ねるような振る舞いは絶対しない。せいぜい「おいおい飛ばし過ぎるなよ~」とニヤニヤしながらお茶を濁すのが関の山なのである。

ではクライアントは怖いか。これが残念ながら実態はそうでもないのである。よっぽどのことがなければ表立ってクライアントはテレビ局とケンカをしない。そこは免許事業の強み、無数に放送局があるわけではない中、クライアントの心理として簡単に局と揉められない。

そもそも経営者がテレビ局に嫌われたくないのだから、宣伝部としても関係に配慮せざるを得ないのだ。もちろんこれからの時代はそうとばかりもいかないだろうし、あまりに評判が悪い番組提供からひっそりと降板するスポンサーは少なくないが、穴埋めに苦労するのはあくまで営業局であって、番組の制作現場は痛みをこれっぽっちも感じていないというのが実態だ。

「弱さ」

惜しむらくはストレート過ぎる物言いだが、言っていることは正鵠を得ているのである。もちろんテレビの現場で頑張ってる制作会社スタッフの熱心さには頭が下がるのだが、彼らには処遇もなければ時間もない。世界のリーダーたちにとってさえ難しい人類的災厄に最適解を速攻でタタキ出すことはどんなに徹夜を繰り返しても難しい。

では局員は何をしているかと言えば、下請け制作会社が取材してきたビデオや台本を「苦しゅうない」と確認するのみというのが実態であろう。その一端は、「報道ステーション」のチーフプロデューサーと富川キャスターがコロナにかかってしまったときの報道からも垣間見れた。

「外部の人との接触はほぼなく、」(チーフプロデューサー)※参照:オリコンニュース

「外部での取材もなかったので、」(富川キャスター) ※参照:東スポWeb

もちろんお偉い二人だから内勤なのだろうが、番組の顔と番組の責任者がほとんど世の中の人と接点がないままに国民的報道番組を制作しているのだから、ホラーというか悪い冗談のようではある。 

動機仮説 まとめ

私の結論はそんなテレビ局ならではの組織・構造的な強みと弱みが、結局は暴走の原因であると考える。ボロい割に外部の批判には滅法強いので、問題があってもまったく是正されない。

そんな現場を、今回コロナならではネタのインパクトが大きく走らせた。

まず、武漢からのチャーター便帰国者がホテル三日月に収容される状況から幕を開けた非日常的な展開。何より、超大型豪華客船がベイブリッジにほど近い横浜港に接岸したビジュアルインパクト。裕福なのに不自由を強いられる様々な国の乗客。

テレビマンならば「おいしい」と飛びついて当たり前ではあるし、それが日々視聴率となって跳ね返るとしたら、ハイテンションな躁状態におちいったのも当たり前かもしれない。

だが、軽いノリで盛り上がげるには、失ったものが大きすぎるのである。社会の弱い場所、人から悲惨な目に合っていることも納得できないし、今後日本人全員がそのツケを世代を超えて払い続けることになってしまったのだから。

次回、『コロナインフォデミックの戦犯たち④専門家篇に続く』

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