1980年代のテネシー川流域での原発運転停止による石炭火力発電および乳児の健康に対する影響

2017年04月10日 19:54

nature.com 4月3日公開。「Impacts of nuclear plant shutdown on coal-fired power generation and infant health in the Tennessee Valley in the 1980s」の要旨翻訳 。

2011年3月の福島原発事故は深刻な社会不安と原発の将来についての不確実性を引き起こした。しかしながら、化石燃料発電所と異なり、原子力発電所が発電中に生み出す温室効果ガスや大気汚染物質は事実上ゼロである。これから示すのは、1980年代のテネシー川流域開発公社 (TVA) による 原子力発電所の一時閉鎖という状況が大気汚染および乳児の健康にもたらした影響である。1979年のスリーマイル島原発事故ののち、アメリカ合衆国原子力規制委員会が全国での調査を強化したことでTVA地域の大型原子力発電所2基が停止される事態となった。この停止に応じて、TVA内の発電は1対1の関係で石炭火力発電へとシフトしたが、その所在地となる郡の中では粒子汚染が増加した。その結果、影響を受けた場所のほとんどで乳児の健康が損なわれた可能性があることから、公衆衛生に対する悪影響が示唆されている。

This page as PDF

関連記事

  • 原子力発電施設など大規模な地域社会の変容(これを変容特性と呼ぶ)は、施設の投資規模、内容にまず依存するが(これを投資特性と呼ぶ)、その具体的な現れ方は、地域の地理的条件や開発の意欲、主体的な働きかけなど(これを地域特性と呼ぶ)によって多様な態様を示す。
  • アゴラ研究所の運営するネット放送「言論アリーナ」。今回のテーマは「緊急生放送! どうする原発処理水」です。 原田前環境相が「海に流すしかない」と発言し、それを小泉進次郎環境相が陳謝し、韓国がIAEAで騒いで話題の福島第一
  • はじめに 原子力発電は福一事故から7年経つが再稼働した原子力発電所は7基[注1]だけだ。近日中に再稼働予定の玄海4号機、大飯4号機を加えると9基になり1.3基/年になる。 もう一つ大きな課題は低稼働率だ。日本は年70%と
  • フィナンシャル・タイムズ
    英フィナンシャル・タイムズ7月19日記事。シェールガスで大量の生産が始まった米国から産出の中心である中東へガスが輸出された。エネルギーの流れが変わろうとしている。
  • 放射線の線量データが公表されるようになったことは良いことだが、ほとんどの場合、その日の線量しか表示しない。データの価値が半減している。本来、データは2つの意味を持っている。一つはその日の放射線量がどうなのかということ。2
  • 読売新聞
    6月25日記事。バイデン副大統領が、米国でのインタビューで、習近平中国国家主席に、このような警告をしたと発言した。もちろん本音は中国への牽制だろうが、米国の警戒感もうかがえる。
  • アゴラ研究所の運営するネット放送「言論アリーナ」を公開しました。今回のテーマは「エネルギー問題この1年」です。 今年はエネルギー問題の中心が原子力から地球温暖化に移ったようにみえます。この1年のエネルギー問題を振り返り、
  • ブルームバーグ
    ブルームバーグ 2月3日記事。福島の原発事故後に安全基準が世界的に強化されたことで原発の建設期間が長期化し、建設の費用が増加している。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑