今週のアップデート - 福島事故被害、適正評価にすべき(2016年6月20日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1) 福島軽水炉事故、「レベル6」への評価引き下げに専門家が賛同―IRPA2016報告
札幌医科大学の高田純教授の寄稿です。国際的な放射線防護学会で、福島事故をめぐる報告をしました。国際基準でチェルノブイリと同じレベル7をレベル6に引き下げるべきという高田氏の意見に、多くの人が賛同したそうです。
東京電力が、炉心溶融通称メルトダウンの通報の遅れ問題で、第三者委員会による報告書をまとめました。認定の遅れの一因が、当時の菅直人首相らの介入にあるとの仮説が示されました。当時の混乱した状況を振り返り、検証します。
3)40年までに石炭・ガス価格は低位、再エネ拡大―ブルームバーグ見通し
調査会社のブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス社が、2040年までの再エネ、エネルギー見通しを示しました。供給過剰感が続き、化石燃料が下がっても、再エネ投資意欲は変わらない事、またEVが拡大することが示されています。興味深い内容で紹介します。
今週のリンク
1)福島第一原子力発電所事故に係る通報・報告に関する第三者検証委員会「検証結果報告書」
東京電力6月16日公表。燃料溶融の報告の遅れについて、「首相官邸からの指示」として清水社長が社内に燃料溶融の言葉を使わないように指示、そして隠蔽とは言えないという報告をまとめました。きょうのコラムで取り上げています。
放射線防護情報センター。今回寄稿いただいた、札幌医科大学の高田先生の映像などの報告です。南アフリカで行われた、国際放射線防護学会の映像、画像などです。
ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス。6月14日公表。今回取り上げた、エネルギー見通し。再エネの普及拡大、蓄電池市場の増加、EVの拡大を分析しています。
ニューヨークタイムズ6月17日記事。ブロゴス転載。シエラクラブなど、米国で影響力の強い環境団体が、大気汚染と地球温暖化防止のために、脱化石燃料のため原子力の活用を指示しているという報道です。
時事通信6月18日記事。関係改善の動きのあった中国、インド関係が再び緊迫しました。きっかけは、インドが原子力利用の姿勢を強めているからとされます。日本もインドとの原子力での関係を深めており、この問題の当事国です。

関連記事
-
処理水の放出は、いろいろな意味で福島第一原発の事故処理の一つの区切りだった。それは廃炉という大事業の第1段階にすぎないが、そこで10年も空費したことは、今後の廃炉作業の見通しに大きな影響を与える。 本丸は「デブリの取り出
-
洋上風力発電事業を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で衆院議員、秋本真利容疑者が逮捕された。捜査がどこまで及ぶのか、今後の展開が気になるところである。各電源の発電コストについて、いま一度確認しておきたい。 2021年8月経済産
-
前回の投稿においてG20エネルギー移行大臣会合の合意失敗について取り上げたが、その直後、7月28日にチェンナイで開催されたG20環境・気候・持続可能大臣会合においても共同声明を採択できす、議長サマリーを発出して終了した。
-
GEPRフェロー 諸葛宗男 はじめに 本稿は原子力発電の国有化があり得るのかどうかを考える。国有化のメリットについては前報(2018.5.14付GEPR)で述べた。デメリットは国鉄や電電公社の経験で広く国民に知られている
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 「地球温暖化が想定を上回るスピードで進んでいる。」と言った前振りが、何の断りもなく書かれることが多くなった。筆者などの感覚では、一体何を見てそんなことが言えるのだろうと不思議に
-
WEF(世界経済フォーラム)や国連が主導し、我が国などでも目標としている「2050年脱炭素社会」は、一体どういう世界になるのだろうか? 脱炭素社会を表すキーワードとして、カーボンニュートラルやゼロ・エミッションなどがある
-
2014年12月4日、東商ホール(東京・千代田区)で、原子力国民会議とエネルギーと経済・環境を考える会が主催する、第2回原子力国民会議・東京大会が、約550名の参加を得て開催された。
-
環境団体による石炭火力攻撃が続いている。昨年のCOP22では日本が国内に石炭火力新設計画を有し、途上国にクリーンコールテクノロジーを輸出していることを理由に国際環境NGOが「化石賞」を出した。これを受けて山本環境大臣は「
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間