今週のアップデート - 原子力再稼動、やり残したもの(2015年8月24日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
原子力政策研究者の諸葛宗男氏に寄稿いただきました。8月11日に九州電力の川内原子力発電所が再稼働しました。ところが、国民に広がる原子力への不信感は払拭されていません。これは政府、原子力規制委員会が、政策をめぐり分かりやすい広報活動をまったくしていないためとの指摘です。再稼動を機に、説明にも力を入れるべきでしょう。
環境法研究家の東田八幡さんの寄稿です。原電敦賀の問題につき、シンポジウム、原電公開資料の検証の中で見えてきた、規制委員会の審査の問題についてまとめています。
3) 再エネ導入と電力供給力確保の両立は難しい-ドイツの事例から
提携する国際環境経済研究所のホームページに掲載された同所主席研究員・理事の竹内純子さんの解説。ドイツは電力自由化と再エネ拡大を同時進行させました。日本もこれから始めようとしています。しかし、供給力確保、天候次第の再エネの安定的使用は難しく、試行錯誤が続いているようです。
今週のリンク
民間の団体、原子力国民会議がセミナーを行います。テーマは、電力自由化、そして地層処分とは何か。興味のある方は、ご参加ください。GEPRも協力します。
2)安倍政権を揺るがす「日本的ダブルスタンダード」-「法的安定性」のない政治が原発や安保を混乱させる
池田信夫アゴラ研究所所長の論考です。JBプレス8月13日掲載。エネルギー、原子力政策では、法律外の取り組みが積み重なっています。景気の悪化の中で、安倍政権の支持率にも影響しかねません。このあいまいな日本的対応を是正すべきでしょう。
3)川内原発の再稼働が必要な4つの理由-再稼働がもたらすリスクとベネフィット
山本隆三常葉大学経営学部教授。ウェッジ・インフィニティ8月18日掲載。川内原発が再稼動しました。その理解は多くの人から得られた状況ではありません。日本と九州の経済にとって、いかに必要かを分析しています。
日本経済新聞8月20日記事。原子力規制の見直し作業を進めていた自民党のプロジェクトチームの草案がまとまりました。内容はこの記事にじゃ詳細は出ていませんが、当初の全面組織改正案よりは、かなり後退しました。規制組織をさわると安倍政権が批判を受けることを懸念したものと思われます。
SAIS米韓センター、ジョセフ・ベルムデッツ研究員。2015年8月発表。SAISはジョンズホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院(英語:Paul H. Nitze School of Advanced International Studies)で米国の研究機関。北朝鮮の核戦略の概観として。最後の「北朝鮮は、日本の軍事施設(米軍と自衛隊の基地やミサイル防衛システムなど)や一般市民を狙った核攻撃を行うことに躊躇しない」という分析は、かなり怖いものです。
関連記事
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
福島原子力事故を受けて、日本のエネルギー政策の見直しが進んでいます。それはどのような方向に進むべきか。前IEA事務局長であり、日本エネルギー経済研究所特別顧問である田中伸男氏に「日本のエネルギー政策見直しに思う」というコラムを寄稿いただきました。
-
表面的に沈静化に向かいつつある放射能パニック問題。しかし、がれき受け入れ拒否の理由になるなど、今でも社会に悪影響を与えています。この考えはなぜ生まれるのか。社会学者の加藤晃生氏から「なぜ科学は放射能パニックを説得できないのか — 被害者・加害者になった同胞を救うために社会学的調査が必要」を寄稿いただきました。
-
エネルギー、原発問題では、批判を怖れ、原子力の活用を主張する意見を述べることを自粛する状況にあります。特に、企業人、公職にある人はなおさらです。その中で、JR東海の葛西敬之会長はこの問題について、冷静な正論を機会あるごとに述べています。その姿勢に敬意を持ちます。今回は、エネルギー関係者のシンポジウムでの講演を記事化。自らが体験した国鉄改革との比較の中でエネルギーと原子力の未来を考えています。
-
再生可能エネルギーの先行きについて、さまざまな考えがあります。原子力と化石燃料から脱却する手段との期待が一部にある一方で、そのコスト高と発電の不安定性から基幹電源にはまだならないという考えが、世界のエネルギーの専門家の一般的な考えです。
-
今年7月からはじまる再生可能エネルギーの振興策である買取制度(FIT)が批判を集めています。太陽光などで発電された電気を電力会社に強制的に買い取らせ、それを国民が負担するものです。政府案では、太陽光発電の買取額が1kWh当たり42円と高額で、国民の負担が増加することが懸念されています。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
エネルギーで考えなければならない問題は、原子力だけではありません。温暖化、原発の安全管理、エネルギー供給体制など、さまざまな課題があります。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間