今週のアップデート - 科学的なエネルギー政策の必要性(2015年3月30日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
アゴラ研究所の池田信夫所長の論考です。福島原発事故以来、日本のエネルギー政策を形容する言葉は「混乱」です。しかし、外交の文脈で語られる地球温暖化の国際交渉COP21が今年年末にパリで予定されます。それに向けた準備が「正常化」のきっかけになると、池田氏は指摘します。
2) 原子力規制委、未熟な運用体制と欠陥(上)
3) 原子力規制委、未熟な運用体制と欠陥(下)
青森県の弁護士で、原子力委員会などの政策にもかかわった石橋忠雄弁護士に寄稿をいただきました。エネルギーレビュー誌の転載で感謝を申し上げます。原子力規制委員会が日本原電敦賀原子力発電所2号機、東北電力東通原発2号機の下に「活断層の可能性」という報告を受理しました。一連の政策の問題点を指摘しています。
4) 過大な省エネ見通しはこう見直すべし
-政府長期エネルギー需給見通し小委員会で提示された省エネ見通しの改善提案-
電力中央研究所の杉山大志さんの論考です。政府計画はいつも過大評価に触れてしまいますが、今審議中の省エネ見通しも2030年に省エネで現在程度の電力需要と推定。少子高齢化でも楽観的すぎます。その分析と是正の考察です。
3月26日公開。アゴラ・GEPRは映像コンテンツを配信し、その中で「Vlog」という短い映像を提供をしています。21世紀政策研究所の研究主幹・澤昭裕さんの主張です。原子力規制の運用について、「規制哲学」に焦点をあてて研究を行い、規制委の制度見直しの提案を試みているそうです。また現場に即した福島事故の教訓を学びとり、日本と世界の原子力技術者に役立つように、教材にしようと考えているそうです。
3月26日公開。国際環境経済研究所理事・主席研究員の竹内純子さんの解説。竹内さんの著書「誤解だらけの電力問題(ウェッジ)」がエネルギーフォーラムの普及啓発賞を受賞しました。それについて、本人による解説です。電力会社社員の経験を活かし、電の姿を分かりやすく説明した良書です。
今週のリンク
産経新聞3月25日記事。原子力規制委員会が2つの原発について活断層の可能性という報告書を受理しました。これまで問題をアゴラ・GEPRで指摘してきました。問題のある行政活動です。
NHK3月25日報道。原子力規制委から停止命令を受けている高速増殖炉もんじゅで、さらに点検ミスが発覚しました。これについては、規制委田中委員長の「原子力をやる資格はない」は、当然の意見です。運営する原子力研究開発機構のたるみが、日本のエネルギー政策を停滞させています。
産経新聞3月27日社説。規制委の活断層問題に首相の介入を訴える過激な内容です。しかし、誤った判断の是正措置が想定されていないため、これしか本当に手のない状況です。
4)ゼロリスクを求めるメディアの「情報汚染」が福島の復興をさまたげる
アゴラ研究所の池田信夫氏の論考です。ニューズウィーク日本版3月12日記事。福島の現状について、「ゼロリスク」の追求が、実は復興を遅らせているという分析です。
5)東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況に関する会計検査の結果について
会計検査院3月23日公表。会計検査院が、東電の賠償問題についての監査をまとめました。(NHKの要約)「競争原理が働きにくい」として、無駄遣いを列挙しています。ただ、賠償、汚染水対策の「線引き」、つまりリスクゼロを求めて最大限の対策をすることには踏み込みませんでした。

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今年7月からはじまる再生可能エネルギーの振興策である買取制度(FIT)が批判を集めています。太陽光などで発電された電気を電力会社に強制的に買い取らせ、それを国民が負担するものです。政府案では、太陽光発電の買取額が1kWh当たり42円と高額で、国民の負担が増加することが懸念されています。
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原子力規制委員会が原発の新安全設置基準を設けるなど制度の再構築を行っています。福島原発事故が起こってしまった日本で原発の安全性を高める活動は評価されるものの、活断層だけを注視する規制の強化が検討されています。こうした部分だけに注目する取り組みは妥当なのでしょうか。
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東日本大震災から2年。犠牲者の方の冥福を祈り、福島第一原発事故の被害者の皆さまに心からのお見舞いを申し上げます。
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著名なエネルギーアナリストで、電力システム改革専門委員会の委員である伊藤敏憲氏の論考です。電力自由化をめぐる議論が広がっています。その中で、ほとんど語られていないのが、電力会社に対する金融のかかわりです。これまで国の保証の下で金融の支援がうながされ、原子力、電力の設備建設が行われてきました。ところが、その優遇措置の行方が電力自由化の議論で、曖昧になっています。
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文藝春秋の新春特別号に衆議院議員の河野太郎氏(以下敬称略)が『「小泉脱原発宣言」を断固支持する』との寄稿を行っている。その前半部分はドイツの電力事情に関する説明だ。河野は13年の11月にドイツを訪問し、調査を行ったとあるが、述べられていることは事実関係を大きく歪めたストーリだ。
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