今週のアップデート - 福島事故を海外の学者はどう見る?(2014年12月15日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1) 「省エネ推進と原子力の安全な活用を」日本への期待【ムラー博士講義・本記】
2) エネルギー源、どれにもあるデメリット【ムラー博士講義・要旨】
カリフォルニア大学バークレー校の人気教授であるリチャード・ムラー博士が来日。12日に東京でエネルギーをテーマに高校生への講義と講演を行いました。その内容を、招聘した日本エネルギー会議の協力を受けリポートします。福島原発事故の被害は破局的なものではないという分析や、再エネや原子力のエネルギー源の評価を紹介しました。ムラー氏は、省エネでの貢献、そして原子力の安全な活用で世界に模範を示すことを期待していました。
3)固定価格買取制度(FIT)は、なぜ間違った政策であるか?
4)再生可能エネルギー普及政策は是か非か-エーオン・ショックの解釈
12月1日付GEPRに山家公雄氏の解説記事(「再エネ、健全な成長のために」)に対して、前者の寄稿者で、小野章昌氏がコメント。さらに山家氏が再反論しました。両者の意見は共に、再エネの疑問派、推進派に典型的なものであるために、両論を掲載し、読者の参考にしたいと考えます。
GEPRは、再エネを振興しつつも、それへの過剰な期待を戒め、今の振興策FITに疑問を向ける論考を提供してきました。主宰者のアゴラ研究所所長の池田信夫もその立場です。しかし、別の意見も当然、尊重します。
今週のリンク
1)(再掲載)総選挙、各政党のエネルギー政策をみる―争点外の原発、負担増は放置
GEPR12月8日記事(再掲載)。14日に衆議院選挙が行われ、事前の予想通り、自民党、公明党の連立与党が安定多数を確保しました。エネルギー分野では問題が山積しているのに、大きな変化はなさそうです。
ウォールストリート・ジャーナル12月15日記事。ペルーのリマで行われていた気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)が閉幕しました。来年のパリ会議では、枠組みをつくることが目標にされています。それでも、その制度づくりでもめました。緩い登録制度づくりで合意がされました。
朝日新聞12月13日記事。田中俊一原子力規制委員会委員長が福島原発を視察。安全性の確保された汚染水の放出を主張していました。タンクに無限に増え続ける状態であり、その排出は当然です。政治的に誰も言い出せない状況になっていました。妥当な発言です。
4)再エネと顧客サービスに軸足を移す欧州の巨人-エーオンの歴史的な事業革新プラン
日経BP12月12日記事。GEPRに寄稿いただいた山家公雄さんの論考です。ドイツの最大手電力会社エーオンが、旧来の持ち株型の電力会社から、再エネ・サービス、送電、発電に分社化する計画を発表しました。ドイツ政府の脱原発路線と、ICT(物のインターネット)など電力とサービスの融合を行います。電力自由化を前に、ドイツの動きは日本の電力会社の参考になるのでしょうか。
産経新聞12月13日社説。日本原電敦賀原発2号機の破砕帯をめぐる問題で、他の有識者から活断層とした規制委の判断に疑問が示されたことを取り上げました。慎重な議論が必要なのに、結論を急ぐ規制委の態度に疑問を示しています。同感です。

関連記事
-
バラバラになった小石河連合 ちょうど3年前の2021年9月、自民党総裁選の際に、このアゴラに「小泉進次郎氏への公開質問状:小石河連合から四人組へ」という論を起こした。 https://agora-web.jp/archi
-
(前回:再生可能エネルギーの出力制御はなぜ必要か) 火力をさらに減らせば再生可能エネルギーを増やせるのか 再生可能エネルギーが出力制御をしている時間帯も一定量の火力が稼働しており、それを減らすことができれば、その分再エネ
-
前回予告したように、エネルギー・環境会議コスト等検証委員会での議論の問題点を考えてみよう。もともと低すぎるではないかとの批判が強かった原子力発電のコストを再検証しつつ、再生可能エネルギーの導入を促進するために、再生可能エネルギーのコストを低めに見積もるという政策的結論ありきで始まったのだろうと、誰しもが思う結果になっている。
-
「科学は必要な協力の感情、我々の努力、我々の同時代の人々の努力、更に我々の祖先と我々の子孫との努力の連帯性の感情を我々に与える」 (太字筆者。ポアンカレ、1914=1939:217、ただし現代仮名遣いに筆者が変更した)
-
世界最大のLNG輸出国になった米国 米国のエネルギー情報局(EIA)によると、2023年に米国のLNG輸出は年間平均で22年比12%増の、日量119億立方フィート(11.9Bcf/d)に上り、カタール、豪州を抜いて世界一
-
福島第一原発事故を受けて、日本のエネルギー政策は混乱を続けている。そして、原発が争点になりそうな衆議院の解散総選挙が迫る。読者の皆さまに役立てるため、現状と主要政党のエネルギー政策を整理する。
-
コロナ後の経済回復を受けて米国で石炭ブームになっている。米国エネルギー省の見通しによると、今年の石炭生産量は6億1700万トンに上り、1990年以降最大になる見通しである(p47 table 6)。 更に、アジアでの旺盛
-
太陽光発電と風力発電はいまや火力や原子力より安くなったという宣伝をよく聞くが、実際はそんなことはない。 複数の補助金や規制の存在が本当のコストを見えにくくしている。また火力発電によるバックアップや送電線増強のコストも、そ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間