今週のアップデート — 地震と原発(2014年6月30日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPRはサイトを更新しました。
今週のアップデート
福島原発事故で原子炉の主要設備が地震で壊れたのではないかという見方を、原子力専門家以外の人が主張しています。これが原子力の不安、原子力規制委員会の過剰規制につながっています。この問題をめぐり、学会事故調で地震と福島事故の関係を精査した、法政大学大学院客員教授の宮野廣氏の解説です。「壊れた」という証拠は現時点で見つかっていません。
2)敦賀原発の活断層判定、再考が必要(上)・対話をしない原子力規制委
3)敦賀原発の活断層判定、再考が必要(下)・行政権力の暴走
日本原電敦賀原発の2号機をめぐり、原子力規制委員会が施設の下に活断層があると認定し、再評価が続いています。ところが規制委は、日本原電側の主張を真摯に受け止めようとしません。争点を説明し、行政権力の横暴と言える問題を明らかにした記事です。
有馬純日本貿易振興機構ロンドン事務所長の論考です。欧州は気候変動問題で世界の論調をリードしてきましたが、変化に適応しない教条主義的な態度が見られるようになりました。その報告です。
今週のリンク
1) 日本原電「敦賀発電所敷地内破砕帯調査外部レビュー結果」
日本原電は、外部の調査チーム2つに依頼して、敦賀原発の破砕帯の調査を行っています。詳細かつ中立な議論によって、原子炉の下には活断層はないと論証しています。原子力規制委員会は真摯に受け止めるべきでしょう。
2)規制委VS原電の活断層バトル 問われる「科学的」議論の中身
産経新聞6月28日記事。敦賀原発の破砕帯評価問題について、概観するにはよい記事です。この問題の情報が、世の中に広がっていません。
毎日新聞6月22日記事。グローバルエナジージャパンという、新電力会社が破綻しました。太陽光、PPS(発電事業)にからみ資金を集めた後、使った形跡なく破綻。電力自由化の負の側面でしょう。毎日新聞は、この会社の闇を積極的に追いかけています。
ワールドニュークリアニュース、6月27日記事。原題は「Russia celebrates two industry ‘firsts’ at Beloyarsk and Obninsk」。ロシア(当時ソ連)のオブニンスク原発で60年前の1954年6月27日、世界発の商業用原子炉が稼動しました。その同じ日付である2014年の6月27日、世界発の商業炉としての高速炉が、ベルヤルスク原発で稼動しました。発電能力は70万キロワット。日本の高速炉のもんじゅの停滞と比べると、そのスピードが際立ちます。
5)原子力2.0
アゴラ研究所池田信夫所長の高速炉をめぐる解説と本の書評です。(再掲載)高速炉をめぐる新しい技術革新の可能性についての書評です。IFR(統合型高速炉)は、技術的には自律的に原子炉が停止、冷却され、炉心溶融のリスクは少なくなります。一方で、今の原発の多くが軽水炉であるため、コスト向上の可能性があります。
関連記事
-
(前回:温室効果ガス排出量の目標達成は困難③) 田中 雄三 風力・太陽光発電の出力変動対策 現状の変動対策 出力が変動する風力や太陽光発電(VRE)の割合が増大すると、電力の積極的な需給調整が必要になります。前稿③の「E
-
COP26は成功、しかし将来に火種 COP26については様々な評価がある。スウェーデンの環境活動家グレタ・トウーンベリは「COP26は完全な失敗だ。2週間にわたってこれまでと同様のたわごと(blah blah blah)
-
札幌医科大学教授(放射線防護学)の高田純博士は、福島復興のためび、その専門知識を提供し、計測や防護のために活動しています。その取り組みに、GEPRは深い敬意を持ちます。その高田教授に、福島の現状、また復興をめぐる取り組みを紹介いただきました。
-
NHKニュースを見るとCOP28では化石燃料からの脱却、と書いてあった。 COP28 化石燃料から「脱却を進める」で合意 だが、これはほぼフェイクニュースだ。こう書いてあると、さもCOP28において、全ての国が化石燃料か
-
既にお知らせした「非政府エネルギー基本計画」の11項目の提言について、3回にわたって掲載する。今回は第2回目。 (前回:非政府エネ基本計画①:電気代は14円、原子力は5割に) なお報告書の正式名称は「エネルギードミナンス
-
小泉元首相の「原発ゼロ」のボルテージが、最近ますます上がっている。本書はそれをまとめたものだが、中身はそれなりの知識のあるゴーストライターが書いたらしく、事実無根のトンデモ本ではない。批判に対する反論も書かれていて、反原
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 前回に続き、以前書いた「IPCC報告の論点③:熱すぎるモ
-
GEPRフェロー 諸葛宗男 今、本州最北端の青森県六ケ所村に分離プルトニウム[注1] が3.6トン貯蔵されている。日本全体の約3分の1だ。再処理工場が稼働すれば分離プルトニウムが毎年約8トン生産される。それらは一体どのよ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間