今週のアップデート — 福島原発事故の収束策(2014年6月2日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)危機対応から平常作業へ — 福島第一原発、収束作業現場を見る・上
2)東電は巨大な負担を続けられるのか? — 福島第一原発、収束作業現場を見る・下
東京電力福島第一原発をアゴラ・GEPR関係者が取材する機会がありました。メディアは恐怖と、「うまくいっていない」と強調します。実際のこの地は巨大工事現場となっています。整理され、そして粛々と工事が進んでいました。その状況をリポートします。
日本の原子力規制委員会について、その判断への批判が広がっています。一方で米NRC(原子力規制委員会)は世界で最もすぐれた規制をしていると、高い評価を世界の原子力関係者から集めています。その力は、組織力にあると専門家が分析しました。
ニューヨーク・タイムズの社説です。最近は地球温暖化、そして世界的なエネルギー不足から、原子力を選択肢として考慮すべきという態度を示しています。
今週のリンク
日本経済新聞、5月27日記事。原子力規制委員会で9月に2委員が交代します。地震対策を主導した島崎邦彦委員が交代となります。官邸主導の人事とされます。島崎委員は、その手法に批判が出ていました。一方で、その退任について原子力を推進するとの批判が出ています。
読売新聞5月30日記事。エネルギー白書の原案が明らかになりました。原子力の停止と化石燃料の使用増で温室効果ガスの増加が著しくなっています。
電力中央研究所リポート。今年は西日本を中心に、電力不足が懸念されています。その対策のために、2013年夏の節電を調査したリポートを紹介します。節電意識が震災以降高まっているものの、13年はその前より節電ペースが減っています。今年の夏が懸念されます。
ノンフィクション作家の門田隆将氏のコラム。朝日新聞の「吉田調書」のキャンペーンについての意見です。門田氏は事故当時の福島第一原発所長だった吉田昌郎氏のインタビューによる、ルポを書いています。その彼が記事の問題を指摘しています。
原子力の活用を訴える関係者、企業、地元住民が集まり、「原子力国民会議」が活動しています。1日に東京大会を開催しました。電力会社の支援は受けていないそうです。原子力の利用をGEPRは特に支援する意図はないものの、こうした原子力利用を訴える情報が、社会で原発事故後に消えてしまった面があります。冷静な議論が広がることを期待します。

関連記事
-
「万感の書を読み、万里の道を行く」。士大夫の心構えとして、中国の格言にこのような言葉がある。知識を吸収し、実地で確かめることを推奨しているのだろう。私は旅行が趣味だが、この言葉を知って旅をするごとに、その地域や見たものの背景を一層考えるようになった。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
G7では態度表明せず トランプ政権はイタリアのG7サミットまでにはパリ協定に対する態度を決めると言われていたが、結論はG7後に持ち越されることになった。5月26-27日のG7タオルミーナサミットのコミュニケでは「米国は気
-
有馬純 東京大学公共政策大学院教授 2月16日、外務省「気候変動に関する有識者会合」が河野外務大臣に「エネルギーに関する提言」を提出した。提言を一読し、多くの疑問を感じたのでそのいくつかを述べてみたい。 再エネは手段であ
-
海洋放出を前面に押す小委員会報告と政府の苦悩 原発事故から9年目を迎える。廃炉事業の安全・円滑な遂行の大きな妨害要因である処理水問題の早期解決の重要性は、国際原子力機関(IAEA)の現地調査団などにより早くから指摘されて
-
バイデンの石油政策の矛盾ぶりが露呈し、米国ではエネルギー政策の論客が批判を強めている。 バイデンは、温暖化対策の名の下に、米国の石油・ガス生産者を妨害するためにあらゆることを行ってきた。党内の左派を満足させるためだ。 バ
-
NHKニュースを見るとCOP28では化石燃料からの脱却、と書いてあった。 COP28 化石燃料から「脱却を進める」で合意 だが、これはほぼフェイクニュースだ。こう書いてあると、さもCOP28において、全ての国が化石燃料か
-
「インフレ抑止法」成立の米国・脱炭素の現状 8月16日、米国のバイデン大統領は、政権の看板政策である気候変動対策を具体化する「インフレ抑止法」に署名し、同法は成立した。 この政策パッケージは、政権発足当初、気候変動対策に
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
- 勝負は既についている? TSMC(熊本)vs.ラピダス(北海道)
- 治安が悪化するドイツ:押し出されたのは少女か、それとも法か
- トランプが気候変動は「いかさま」だという理由
- 地球温暖化は加速しているが、その原因はCO2ではない
- 三菱商事撤退が示す洋上風力の幻想:日本はなぜ推進をやめられないのか
- 80万トンともいわれる廃棄ソーラーパネルの2040年問題
- 洋上風力プロジェクトに黄信号:三菱商事に続いてENEOSにも逆風
- 迷走する洋上風力発電競争入札:毎回のルール変更で業界大混乱
- スペイン大停電の原因は過剰な再エネ依存と判明:日本にも迫る電力不安の現実
- プラスチックごみはリサイクルしないで燃やせばいい