今週のアップデート — 原子力をめぐる国民的な議論の必要(2014年5月12日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
宮健三東京大学名誉教授から寄稿いただきました。宮氏は原子力工学の研究者。福島の反省と、適切な議論を訴え、自らの「原子力国民会議」についても紹介しています。福島原発事故の後で、これまで自粛のためか原子力関係者の意見が、社会に出てきませんでした。冷静な議論が広がる状況を歓迎したいです。
2)事業者との対話で高まる原発の安全 –– 米NRCに学ぶ「効果的」原子力規制
GEPR編集者の石井孝明が、何人かの原子力工学者に話を聞き、米国の原子力規制委員会(NRC)の規制の姿をまとめました。間接情報から考えても、その規制は合理的です。混乱の続く、日本の原子力規制委員会の規制と比べると、大きな差があります。日本の是正を期待します。
台湾で原発が政治の道具になっています。福島事故も影響しています。日本とよく似た状況を現地ルポしました。
今週のリンク
ウォール・ストリート・ジャーナル、5月7日社説。(英語)
台湾の混乱を、日韓と対比させながら解説し、同国のエネルギーの脆弱性が高まったと懸念しています。
ゲイル・マーカス 元全米原子力学会会長のコラム。「マーカス博士の部屋」(日本エヌユーエス)。米NRCの規制に関わったマーカス博士のコラム。今回の寄稿で取り上げた「良き規制の原則」がどのようにできたかを紹介しています。
3)NRCの価値観
米国原子力規制委員会(NRC)のホームページ。今回取り上げた規制について示しています。こうした規制理念とその実現指針を、日本の原子力規制委員会は掲げていません。
日経産業新聞5月10日記事。足達栄一郎・日本総合研究所理事の論考。米国の新しい取り組みで、減税と省エネを組み合わせる事例を紹介。節電と省エネが原発事故以来広がりました。こうした取り組みを、税の面から支えることも必要でしょう。
東洋経済オンライン5月9日記事。東芝が復活を遂げつつあるものの、原子力事業が伸び悩みを示しているという話です。福島原発事故や、米国のプロジェクトの混乱。原子力は単価が大きいものの、一度頓挫すると企業収益が大きく左右されてしまいます。
静岡新聞5月11日記事。静岡県の川勝平太知事が、静岡県の浜岡原発(中部電力)の再稼動は、県の条例の未整備、使用済核燃料の問題があるので実質できないと明言。法律に基づかない規制を求めるのは、大変な問題でしょう。
関連記事
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPRはサイトを更新しました。 今週のアップデート 1)太陽光発電による環境破壊、状況は悪化 山梨県北杜市の現地住民の話から、この問題をまとめました。環境破壊
-
11月1日にエネルギーフォーラムへ掲載された杉山大志氏のコラムで、以下の指摘がありました。 G7(主要7カ国)貿易相会合が10月22日に開かれて、「サプライチェーンから強制労働を排除する」という声明が発表された。名指しは
-
日本最大級の言論プラットホーム・アゴラが運営するインターネット放送の「言論アリーナ」。6月25日(火曜日)の放送は午後8時から1時間にわたって、「原発はいつ再稼動するのか--精神論抜きの現実的エネルギー論」を放送した。
-
EV補助金の打ち切り…その日は突然訪れた 12月17日、夜7時のニュースをつけたら、「EVの補助金は明日から中止されることになりました。あと5時間です」。 寝耳に水。まるでエイプリスフールだ。 政府はいくらお金がないとは
-
最近出たお勧めの本です。 著者のマイケル・シェレンバーガーは初めは環境運動家だったが、やがてその欺瞞に気づき、いまでは最も環境に優しいエネルギーとして原子力を熱心に推進している。 地球温暖化に関しては小生とほぼ意見は同じ
-
日本での報道は少ないが、世界では昨年オランダで起こった窒素問題が注目を集めている。 この最中、2023年3月15日にオランダ地方選挙が行われ、BBB(BoerBurgerBeweging:農民市民運動党)がオランダの1つ
-
テレビ朝日が8月6日に「ビキニ事件63年目の真実~フクシマの未来予想図~」という番組を放送すると予告している。そのキャプションでは、こう書いている。 ネバダ核実験公文書館で衝撃的な機密文書を多数発掘。ロンゲラップ島民たち
-
田中 雄三 温暖化は確かに進行していると考えます。また、限りある化石燃料をいつまでも使い続けることはできませんから、再生可能エネルギーへの転換が必要と思います。しかし、日本が実質ゼロを達成するには、5つの大きな障害があり
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間