今週のアップデート — 揺れる世界、エネルギー独立と原発(2014年5月8日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。毎週月曜日更新ですが、編集の事情で今回水曜日としたことをお詫びします。
今週のアップデート
台湾のエネルギー・原子力政策が揺れている。建設中の台湾電力第四原発をめぐって抗議活動が広がり、政府は建設の一時中止を表明。原子力をめぐる議論で反原発を標榜する一部の世論が政府を引きずり、日本と状況がよく似ている。台湾の人々の声を集めながら、民意と原子力の関係を考える。
フィンランド在住のジャーナリストである靴家さちこさん、フィンランドの原発事情を紹介していただきました。靴家さんには、以前、オンカロでの最終処分場についてまとめていただきました。(記事「核のゴミ、市民はどのように処分方法を決めたのか–フィンランドの経験」)。原発は、問題が入り組んでいるために、推進でも、反対でも、問題に直面します。
3) 映像「日本はIPCCの温暖化警告にどう向き合うべきか」
国連のIPCC(気候変動)が第5次報告をまとめました。気候変動問題の研究者である杉山大志さん、竹内純子さんを招き、モデレーター、石川和男さんで議論をしました。内容は近く、記事化します。
今週のリンク
ロイター通信4月28日報道。台湾で建設中の台湾電力第四原発のABWR(改良型沸騰水型原子炉)が、政治的な争点となり、馬英九総統は建設凍結を表明しました。デモの活発化、野党が政治的な争点にするなど、日本と状況が似ています。この問題については現地事情を交えて報告します。
欧州の情報まとめサイト。(英語)今回靴家さんの紹介したハンヒキヴィ原発など、フィンランドの原子力事情をめぐる報道が一覧で示されています。
産経新聞4月20日記事。原子力規制委員会は九州電力の川内原発(鹿児島県)の優先審査を行っています。ところが、それが規制委員会の追加審査で混乱し、遅れているという報告です。
毎日新聞4月28日記事。漫画誌モーニングで連載中の「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」の作者のインタビュー記事です。福島で事故直後の作業はどうだったのか。作業員の人がルポのマンガにしました。
福島民友4月26日記事。東京電力福島第二発電所の廃炉について、福島県からの要請に、広瀬社長が見解を表明しました。プラントは80年代の建設で稼動できれば東電の経営は立ち直ります。しかし、地元感情を考えれば再稼動は難しい状況です。

関連記事
-
「ブラックアウト・ニュース」はドイツの匿名の技術者たちがドイツの脱炭素政策である「エネルギーヴェンデ(転換)」を経済自滅的であるとして批判しているニュースレター(ドイツ語、一部英語、無料)だ。 そのブラックアウト・ニュー
-
(見解は2016年11月18日時点。筆者は元経産省官房審議官(国際エネルギー・気候変動担当)) (IEEI版) 米大統領選当選でドナルド・トランプ氏が当選したことは世界中を驚かせた。そのマグニチュードは本年6月の英国のE
-
オーストラリアのジャーナリストJoNova氏のブログサイトに、オーストラリアの太陽光発電について、「導入量が多すぎて多い日には80%もの発電能力が無駄になっている」という記事が出ていました。 日本でも将来同様のことになり
-
権威ある医学誌The Lancet Planetary Healthに、気候変動による死亡率の調査結果が出た。大規模な国際研究チームが世界各地で2000~2019年の地球の平均気温と超過死亡の関連を調査した結果は、次の通
-
ジャーナリスト 明林 更奈 風車が与える国防上の脅威 今日本では、全国各地で風力発電のための風車建設が増加している。しかしこれらが、日本の安全保障に影響を及ぼす懸念が浮上しており、防衛省がその対応に苦慮し始めているという
-
ドイツのチューリンゲン州で州議会選挙が行われた。得票率は図1の通り。ドイツ連邦の連立政権与党である社会党(SPD)、緑の党(Grune)、自民党(FDP)が大惨敗。躍進したのはドイツでも日本でも大手メディアからは極右扱い
-
国のエネルギーと原子力政策をめぐり、日本で対立が続いている。いずれも国民の幸せを願ってはいるのだが、その選択は国の浮沈に関わる重大問題である。東京電力の福島第1原発事故の影響を見て曇るようなことがあってはならない。しかし、その事故の混乱の影響はいまだに消えない。
-
ガソリン価格が1リットル170円を上回り、政府は価格をおさえるために石油元売りに補助金を出すことを決めました。他方で政府は、脱炭素化で化石燃料の消費を減らす方針です。これはいったいどうなってるんでしょうか。 レギュラーガ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間