東電、新・総合特別事業計画について — 本格再生に進むべし

2014年01月20日 12:00
アバター画像
政策家

霞が関政策総研ブログ

経済産業省は1月15日、東京電力の新しい総合特別事業計画(再建計画)を認定した。その概要は下の資料〔=新・総合特別事業計画 における取り組み〕の通りである。

これについて、通信社から回答字数制限付きで取材を受けたので、以下の旨で回答した。全然書き足りていないが、要するに、批判や非難だけでは何も進まないので、震災事故被災者と管内需要家の救済のため、そろそろ本格再生に向けて進むべしということ。(実際に記事化される場合には、編集されている可能性がある。)

○今回の新しい総合特別事業計画は東電救済ではなく、震災による事故の被災者と東電管内の需要家の救済への道筋となるもの。最大の課題は、本計画実施に必要な資金と人材をいかに確保していくかだ。

○資金面について:巨額な公的資金が追加注入されるが、極力早く返済できるよう、国と東電は柏崎原発の再稼働を急ぎ、必要資金を捻出する必要がある。その際、原子力規制委員会の審査を経てからの再稼働ではなく、審査と同時並行の発電を容認すべき。政府が総力を挙げて地元自治体に説明と説得をしつつ、安倍総理が容認をコミットすればいい。

○人材面について:これ以上の人材流出は、原発や廃炉への円滑な運営に支障を来す。リストラはもうやめて、使命感と熱意のある既存職員の活用と新規採用に努めるべき。

○ 再生可能エネルギー普及のため、柏崎原発収益の一部を再生エネ賦課金に充てて、消費者負担を軽減するようにすべき。原発と再生エネの共存を図り、超長期的視野で再生エネ社会に移行させていくべき。

総合特別事業計画の概要

(2014年1月20日掲載)

This page as PDF

関連記事

  • ドイツでは先月ついにガソリン車のシェアを抜く 欧州においては官民一体でのEVシフトは急激に進んでいる。先月2021年11月のドイツのEV(純電気自動車:BEV、プラグインハイブリッド車:PHEV)のシェアは34%を超えて
  • 共存共栄への可能性 私は再エネ派の人々とテレビ番組やシンポジウムなどで討論や対話をする機会が時々ある。原子力推進派のなかでは稀な部類であると思っている。メディアでもシンポジウムでも、再エネvs.原子力という旧態依然の構図
  • 福島第一原発事故の放射線による死者はゼロだが、避難などによる「原発関連死」は事故から2014年までの4年間で1232人だった(東京新聞調べ)。それに対して原発を停止したことで失われた命は4年間で1280人だった、とNei
  • ドバイではCOP28が開かれているが、そこでは脱炭素化の費用対効果は討議されていない。これは恐るべきことだ。 あなたの会社が100億円の投資をするとき、そのリターンが100億円より大きいことは最小限度の条件だが、世界各国
  • ロシアのウクライナ侵攻で、ザポリージャ原子力発電所がロシア軍の砲撃を受けた。サボリージャには原子炉が6基あり、ウクライナの総電力の約20%を担っている。 ウクライナの外相が「爆発すればチェルノブイリ事故の10倍の被害にな
  • トランプ大統領は、かなり以前から、気候変動を「いかさま」だと表現し、パリ協定からの離脱を宣言していた。第2次政権でも就任直後に一連の大統領令に署名し、その中にはパリ協定離脱、グリーンニューディール政策の終了とEV義務化の
  • 経済産業省で12月12日に再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(以下単に「委員会」)が開催され、中間とりまとめ案が提示された(現在パブリックコメント中)。なお「中間とりまとめ」は役所言葉では報告書とほぼ同義と考え
  • 小泉元首相の「原発ゼロ」のボルテージが、最近ますます上がっている。本書はそれをまとめたものだが、中身はそれなりの知識のあるゴーストライターが書いたらしく、事実無根のトンデモ本ではない。批判に対する反論も書かれていて、反原

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑