今週のアップデート — 政治家は原発をどのように考えるのか(2013年10月28日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)原発事故、なぜ混乱が続くのか — 馬淵議員が語る「無責任の連鎖」
政策家石川和男さんのネット放送「霞ヶ関政策総研チャンネル」の報告。民主党で実務ができる政治家と注目された馬淵澄夫議員が登場しました。東電から事故処理を切り出し、国が関与するなどの現実的提言を行っています。
原子力と政治の関係を、馬淵議員は「無責任の連鎖」と指摘しました。この状況はどこから生まれてしまったのでしょうか。
日本の原子力政策は19950年に制定された「原子力基本法」を根拠に展開されてきました。同法作成の中心で、当時一議員だった中曽根康弘氏の演説を紹介します。同法は自民、社民両党の賛成で成立した議員立法でした。発足時の理想は福島原発事故という失敗を見れば、実現しませんでした。何が問題だったのか。考える材料として紹介します。
提携する国際環境経済研究所(IEEI)に掲載された、同研究所の竹内純子さんの論考です。オバマ政権のグリーンニューディールの失敗、そして新しい環境、エネルギー政策を振り返った上で、今後の展開を予想しています。
今週のリンク
今週登場の政策家、石川和男さんの論考です。福島原発の事故処理のお金は東電の原発稼動によって得ることしか、現在のところ手が見えません。
池田信夫アゴラ研究所所長のコラムです。池田氏によると、原発の未来についてどのような意見を持とうとも、有識者の多くは東電処理策の見直しを主張するようになりました。東電に全責任を負わせることは不可能です。この方向への政策転換が必要です。
英紙フィナンシャルタイムズ、10月23日記事。日本経済新聞翻訳。汚染源の一つである鉄鋼などの重工業の化石燃料の使用。それを止められない状況にあるジレンマに、中国は直面しています。
4) 菅元首相、みのもんた降板も自分の退陣も「原子力ムラの陰謀」
産経新聞10月27日記事。菅直人首相が自らのブログで、原発に批判的であった、テレビ司会者のみのもんた氏が息子の不祥事でレギュラー番組を降板したことについて「原子力ムラの陰謀」とブログで取り上げました。自分の退陣も、それが一因と述べました。ネット上で大変な批判を集めています。
産経新聞10月24日社説。国際原子力機関(IAEA)が福島を視察。年1mSvまでの除染目標に「必ずしもこだわる必要はない」と提言しました。除染目標が厳しすぎ、福島の復興が遅れていることを社説は指摘しています。GEPRもその主張を重ねてきました。
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