今週のアップデート — チェルノブイリから福島を考える(2013年9月24日)

2013年09月24日 15:30

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを行進しました。

今週のアップデート

1)現地を見よう、危険と切り捨てるな=「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」を語る(上)東浩紀・石川和男対談

2)福島原発観光でイメージ回復を=「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」を語る(下)東浩紀・石川和男対談

1986年に原発事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発。その本を編集した作家の東浩紀さんを招き、政策家の石川和男氏と対談をまとめました。福島を考える材料が詰まっています。

3)福島原発事故、専門家は責任から逃げるな

GEPR編集者の石井孝明のコラム。福島の混乱で「専門家が責任を果たさないこと」に警鐘を鳴らしています。

4)米国シェールガス革命は好機か、危機か

提携する国際環境経済研究所の論考です。欧州では、国際競争力の危機という観点から米国のシェールガス革命を分析する意見が広がっています。

今週のアップデート

1)福島第一原発観光地化計画

今回紹介した東浩紀氏らのプロジェクト。観光地化することで、イメージの改善と産業を作り出すことを狙っています。

2)Safecast–世界中の放射線データを共有することで、皆に力を与えるプロジェクト

福島原発事故の後で日本発のプロジェクト。日本を含め、チェルノブイリなどさまざまな場所の放射線を図り、「見える化」によって問題を解決することを考えています。今回紹介の「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」の成果も示されています。

3)汚染水対策で「特別枠」検討 安倍首相が表明

産経新聞9月22日記事。安倍首相は来年度予算編成で、汚染水対策の支出について、財源を確保することを表明しました。また「私が責任者」と明言しました。この支出が妥当か、検証をするプロセスがないことが懸念されます。

4)Germany’s Effort at Clean Energy Proves Complex

9月18日のニューヨークタイムズ記事。翻訳は「クリーンエネルギー拡大努力が混迷」ドイツの選挙の結果、保守系のメルケル政権が選挙で継続することになりました。ここでは自然エネルギー支援が、争点になりました。電気料金は上昇し、料金が払えぬ家庭では「エネルギー貧困」(energy poverty)というべき現象も起きているそうです。

5)再生可能エネルギーの発電設備の導入状況について

経済産業省、8月20日公表。計画はあっても、建設が遅れ、現時点で計画の1割にしか過ぎません。実際の発電も稼働率が低く、大きな発電量を確保できません。解説記事プレジデント「つくっても実稼働率低い太陽光発電の前途多難」。

This page as PDF

関連記事

  • 政府は今年6月にグリーン成長戦略を発表した。ここでは「環境と経済の好循環」を掲げ、その手段としてカーボンプライシング(炭素税)をあげているが、本書も指摘するようにこのメッセージは矛盾している。温暖化対策で成長できるなら、
  • 連日、「化石燃料はもうお仕舞いだ、脱炭素だ、これからは太陽光発電と風力発電だ」、という報道に晒されていて、洗脳されかかっている人も多いかもしれない。 けれども実態は全く違う。 NGOであるREN21の報告書に分かり易い図
  • 武田薬品、炭素クレジットでの相殺中止 直接削減を拡大 武田薬品工業は毎年の温暖化ガス(GHG)排出量をボランタリー(民間)カーボンクレジットで相殺するのを中止する。信頼性や透明性を高めるため、高品質クレジットの購入は続け
  • メタンはCO2に次ぐ温室効果ガスとして知られている。IPCC報告を見ると、過去、CO2による温暖化が約0.8℃だったのに対してメタンは約0.5℃の温暖化を引き起こした、としている(下図の左から2番目のMethane)。
  • 現在の日本のエネルギー政策では、エネルギー基本計画(2014年4月)により「原発依存度は、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」こととなり、電力事業者は今後、原発の新増設が難しくなりました。原発の再稼動反対と廃止を訴える人も増えました。このままでは2030年以降にベースロード電源の設備容量が僅少になり、電力の供給が不安定になることが懸念されます。
  • 前回はESG投資商品と通常の投資商品に大きな違いがないことを論じましたが、今回は銘柄選定のプロセスについて掘り下げてみます。 いわゆる「ESG投資」というのは統一された定義がなく、調査会社や投資商品によって選定基準が異な
  • アメリカのトランプ大統領が、COP(気候変動枠組条約締約国会議)のパリ協定から離脱すると発表した。これ自体は彼が選挙戦で言っていたことで、驚きはない。パリ協定には罰則もないので、わざわざ脱退する必要もなかったが、政治的ス
  • 今SMR(Small Modular Reactor: SMR)が熱い。 しかし、SMRの概念図を見て最初に思ったのは、「これって〝共通要因〟に致命的に弱いのではないか」ということだ。 SMRは小型の原子炉を多数(10基

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑