今週のアップデートー 福島原発、汚染水処理の行方(2013年9月17日)
今週のアップデート
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
1)どうなる福島原発、汚染水問題【言論アリーナ】(上)何が起こっているのか?
どうなる福島原発、汚染水問題【言論アリーナ】(下)あいまいな対策の克服を
アゴラ研究所の運営映像コンテンツ「言論アリーナ」。9月9日は1時間に渡って「どうなる福島原発汚染水問題・東電常務に田原総一朗が迫る」を放送しました。(YouTube)その記事化です。
東京電力常務の姉川尚史氏、ジャーナリストの田原総一朗氏が出演。司会は池田信夫アゴラ研究所所長が務めました。汚染水対策の現状、東電への国の支援体制の問題点について分析しています。
東電姉川常務提供の番組資料。順番に見ることで、福島原発事故と汚染水対策の概要を知ることができます。
3)原子力・エネルギー問題、新聞が伝える使命を放棄した — おやおやマスコミ
科学ジャーナリスト中村政雄氏のエネルギー報道の分析です。エネルギーフォーラム9月号から転載を許諾いただきました。感謝を申し上げます。山本太郎氏当選などを例に、原発報道がゆがめられているとの指摘です。
今週のリンク
1)【オピニオン】福島第1原発への理性的な対応妨げる放射線恐怖症
ニューヨークタイムズ9月10日解説記事。論説記者のホルマン・ジェンキンス氏の解説です。英語原文はJapan and the Fate of Nuclear Power –Radiation phobia prevents a rational response to Fukushima。11年5月に福島原発で漏れた汚染水は「45リットルを飲んでCTスキャン1回分」にしかすぎず、恐怖が膨大なコストと不安を広げていると指摘しています。
東京電力資料。今回の汚染水問題では、放射性物質のトリチウムの検出が注目されました。この物質をめぐる一般向けの解説です。適切に対応すれば、人体への影響がほぼないことが分かります。
3)東京電力福島第一原子力発電所事故 対応の調査研究における主要成果
今年7月発表の水産総合研究センターの資料です。福島原発事故による、海洋汚染の水産物への影響が、一般向けに分かりやすく示されています。
水産庁、9月公表資料。放射性物質の水産物への影響が分析されています。現在は1キロ当たり100ベクレルの魚が、捕獲調査で現れる割合は、福島県沖で2・5%と確実に減っています。
5)政府エネ計画、原発比率明示見送り 1年2カ月ぶり稼働ゼロ
産経新聞9月15日記事。政府のエネルギー基本計画の見直し作業が進んでいます。その中で、これまでの総合エネルギー調査会の議論では、将来の発電比率の見通しを示すことは見送りとなりそうです。こうした中で原発は15日、稼動がゼロになりました。状況の解説記事です。安全審査の混乱が、国の政策全体の先行きを不透明にしています。

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筆者は1960年代後半に大学院(機械工学専攻)を卒業し、重工業メーカーで約30年間にわたり原子力発電所の設計、開発、保守に携わってきた。2004年に第一線を退いてから原子力技術者OBの団体であるエネルギー問題に発言する会(通称:エネルギー会)に入会し、次世代層への技術伝承・人材育成、政策提言、マスコミ報道へ意見、雑誌などへ投稿、シンポジウムの開催など行なってきた。
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