今週のアップデート — 参議院選挙後のエネルギー政策展望(2013年7月22日)

2013年07月22日 22:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーの「バーチャルシンクタンク」であるグローバルエナジー・ポリシーリサーチ(GEPR)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1)原発停止、負担10兆円の行方(上)— 新潟県泉田知事と東電の対立
2)原発停止負担10兆円の行方(下)— 経済の重荷を急ぎ解消せよ

アゴラ研究所では新しい取り組みとして、インターネット上で、識者が政策を語り合う映像コンテンツ「言論アリーナ」を提供しています。参議院選挙投開票直前の16日「再稼動の遅れ、アベノミクスの危機」という放送を行いました。

参議院選挙では原発が、それほど大きな話題になりませんでした。ところがエネルギー問題では、未解決の問題が山積しています。政策家で元経産省の石川和男氏、GEPRの編集者であるジャーナリストの石井孝明がパネリストとして参加。池田信夫アゴラ研究所所長の司会で、参議院選挙後のエネルギー、原子力政策の見通しを語りました。混迷が続く中で「政治の決断」を参加者全員が期待しました。

3)「電力システム改革」を改革すべし(その3)

パネリストとして参加した石川和男氏の論考です。電力自由化は国民が、「電力の価格メカニズム」に向き合う必要があるが、その準備ができているとは言い難いとの指摘が展開されています。

今週のリンク

1)参院選ツイッター、話題はエネルギー政策と景気

読売新聞7月15日記事。7月21日の参議院選挙は自民党が当選65人、新勢力115議席(選挙前84議席)と大勝しました。連立を組む公明党と合わせれば現有で135議席と過半数を確保しました。ネット選挙解禁となった今回の選挙では、ツイッターではこの記事のように原発が話題になったものの、脱原発を掲げる政党の議席が伸び悩みました。

2)水との格闘、幾重にも 福島第1原発ルポ

日本経済新聞7月20日記事。福島第一原発では事故後、3度目の夏を迎えます。冷却のための汚染水の処理が急務になっています。

3)核爆弾の影響地図

アメリカ物理協会に勤務するアーサー・ウォーラステイン氏という研究者のブログ。グーグルアースと連動すると、立体地図上に核爆発が起こった際の簡単な影響が映し出されます。東京など日本の都市でも、シミュレーションを行うことができます。

4)参院選東京選挙区でなぜか盛り上がる原発事故–SPEEDIデータの公表是非を巡る議論のナンセンス

7月19日掲載のJBプレス記事。物理学者であり作曲家でもある東京大学伊東乾准教授の寄稿。投開票前に、東京で原発事故直後に公開されなかった核物質の拡散情報を提供するSPEEDIをめぐる騒動について、言及しています。これは文科省が隠したという噂が流れていますが、一種のシミュレーションで参考情報程度にしかならないという見解を述べています。

5)中国で初めて反原発デモが成功–わずか3日間、1000人規模のデモで計画が白紙になった理由

日経BP、7月17日記事。ジャーナリスト福島香織氏の寄稿。中国広東省で7月13日に、原発用ウラン燃料製造工場建設プロジェクトが白紙になりました。穏健なデモと抗議によるものです。同国は2030年までに原発200基建設計画を掲げる一方で、住民の意向を聞かない強権的な原子力施設の建設が政府により繰り返されてきました。それが変わる可能性があります。

 

 

 

This page as PDF

関連記事

  • ようやく舵が切られたトリチウム処理水問題 福島第一原子力発電所(1F)のトリチウム処理水の海洋放出に政府がようやく踏み出す。 その背景には国際原子力機関(IAEA)の後押しがある。しかし、ここにきて隣国から物申す声が喧し
  • 福島第一原子力発電所の重大事故を契機に、原発の安全性への信頼は大きくゆらぎ、国内はおろか全世界に原発への不安が拡大しました。津波によって電源が失われ、原子炉の制御ができなくなったこと、そしてこれを国や事業者が前もって適切に対策をとっていなかったこと、そのため今後も同様の事故が発生するのではないかとの不安が広がったことが大きな原因です。
  • 8月中旬、ジャカルタで第2回AZEC(アジア・ゼロ・エミッション共同体)閣僚会合が開催された。 AZECは脱炭素化を推進するアジア諸国による枠組みとして岸田首相が2022年1月の施政方針演説で提唱したものであり、日本の技
  • 小泉元首相を見学後に脱原発に踏み切らせたことで注目されているフィンランドの高レベル核廃棄物の最終処分地であるONKALO(オンカロ)。
  • 菅政権の目玉は「2050年CO2排出ゼロ」だろう。政府は25日、「カーボンニュートラル」(炭素中立)を目標とするグリーン成長戦略を発表した。炭素中立とは、人間の排出するCO2と森林などの吸収を合計して実質ゼロにするという
  • 総裁候補の原発観 今の自民党総裁選をリードしているとされる河野太郎氏は、〝原発再稼働容認に転換〟とも伝えられたが注1)、今も昔も強烈かつ確信的な反原発の思想の持ち主である。河野氏の基本理念は核燃料サイクル注2)を止めるこ
  • 細川護煕元総理が脱原発を第一の政策に掲げ、先に「即時原発ゼロ」を主張した小泉純一郎元総理の応援を受け、東京都知事選に立候補を表明した。誠に奇異な感じを受けたのは筆者だけではないだろう。心ある国民の多くが、何かおかしいと感じている筈である。とはいえ、この選挙では二人の元総理が絡むために、国民が原子力を考える際に、影響は大きいと言わざるを得ない。
  • 菅直人元首相は2013年4月30日付の北海道新聞の取材に原発再稼働について問われ、次のように語っている。「たとえ政権が代わっても、トントントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです」と、自信満々に回答している。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑