今週のアップデート — 北朝鮮の核実験の分析(2013年1月28日)
今週のアップデート
1)北朝鮮が核実験を行う意向を、1月28日現在で示しています。この実験内容について、東京工業大学の澤田哲生助教に解説いただきました。
「核科学者が解読する北朝鮮核実験 — 技術進化に警戒必要」
「【補足】ブースト型核爆発装置について」
軍事研究者のコメントは数多いですが、核科学者(工学)からの専門的な分析は少ないと思います。読者の参考になるでしょう。
2)「活断層だけに注目する安全対策は無意味 — シンポジウム報告 」
民間有識者からなる日本エネルギー会議は25日、「活断層とは何か」というシンポジウムを開催しました。原子力規制委員会の判定で注目を集める活断層をめぐる理解を深め、それが原子力プラントにどのように影響するのかについて、論点を整理したもの。その内容をGEPR編集部が紹介します。
3)「原子力への恐怖は正しいのか? — 映画「パンドラの約束」」
米国のサンダンス映画祭で注目を集めた映画の紹介。原子力の未来をめぐり、かつて反核の立場だった人々の証言、そして健康被害の可能性はないのに福島で人々が避難で苦しむ姿を紹介しています。
4)「自民党政権に原子力政策の転換を提言 — エネルギー研究3団体」
エネルギー研究の3団体が、安倍晋三首相に政策提言を提出しました。今のエネルギーの問題がまとまっており、参考として紹介します。(PDF)
今週のリンク
1)「India Warns Kashmiris to Prepare for Nuclear War」(インド、パキスタンとの核戦争を準備)。ニューヨークタイムズ1月22日記事。パキスタンとの国境紛争、軍の衝突が続いているインドカシミール州で、核戦争対策を現地警察が住民に指示したとの報道です。
ただし、AFP(フランス通信)は同日、指示は発せられたが毎年の民間防衛訓練の一環と警察当局が説明しているとしています。(サイト「ロシアの声」22日記事)慢性化している対立ですが、緊張が高まっていることに警戒が必要です。
2)「Resolution on EU stress test lessons」(ヨーロッパのストレステストの結果)。ワールドニュークリアニュース(WNN)25日記事。EUでは同テストが福島事故後の2011年夏から2012年にかけて実際され、その結果はヨーロッパ原子力安全規制機関グループ(ENSREG)によって確認され、昨年10月にEU委員会は、「テスト結果は総じて満足できるものである」(generally satisfactory)という内容の報告書を発表しました。テストの結果停止された炉は1基もありません。記事は、報告書がEU議会で近く採択される古都を示しました。
日本では同時期にストレステストを行い、それを再稼動要件としました。各電力会社は大半が11年中に結果を提出。ところが新たな原子力規制委員会が昨秋発足し、このテストを参考にしないとしています。ムダな取り組みを電力会社はさせられ、気の毒です。
3)産経新聞1月28日記事。「原発周辺の1歳児の甲状腺被曝、大半が30ミリシーベルト以下」
東京電力福島第1原発事故で、周辺の1歳児の甲状腺被曝(ひばく)線量(等価線量)は30ミリシーベルト以下がほとんどだったとの推計結果を放射線医学総合研究所(千葉市)の研究チームがまとめ、都内で27日に開かれた国際会議で発表しています。産経新聞28日記事。国際原子力機関(IAEA)が甲状腺被曝を防ぐため安定ヨウ素剤を飲む目安とする50ミリシーベルトを下回っています。
安倍晋三首相は25日午前の日本経済再生本部会合で、成長戦略の策定に向けて10項目の重要課題を検討するよう関係閣僚に指示した。「2030年代の原発ゼロ」を掲げた民主党政権のエネルギー戦略をゼロベースで見直すことを表明しています。産経新聞25日記事。
5)「急速充電器が3・5万台も必要か」。バイオマスジャパン社の松元信嘉氏のアゴラへの寄稿。電気自動車(EV)ユーザーとして、政府の充電所拡充計画が、妥当かどうかをまとめています。

関連記事
-
(GEPR編集部より)GEPRは民間有識者などからなるスマートメーター研究会(村上憲郎代表)とともに、スマートグリッドの研究を進めている。東京電力がスマートメーターを今年度300万台、今後5年で1700万台発注のための意見を募集した。(同社ホームページ)同研究会の意見書を公開する。また一般読者の方も、これに意見がある場合に、ご一報いただきたい。連絡先は info@gepr.org この意見書についての解説記事
-
停電は多くの場合、電気設備の故障に起因して発生する。とはいえ設備が故障すれば必ず停電するわけではない。多くの国では、送電線1回線、変圧器1台、発電機1台などの機器装置の単一故障時に、原則として供給支障が生じないように電力設備を計画することが基本とされている(ただし影響が限定的な供給支障は許容されるケースが多い)。
-
政府は「2050年カーボンニュートラル」という方針を決めました。これは「2050年までに温室効果ガス(特にCO2)の排出を実質ゼロにする」という意味で、そのために2030年までに46%減らすことになっています。これは地球
-
国際環境経済研究所(IEEI)版 衝撃的な離脱派の勝利 6月24日、英国のEU残留の是非を問う国民投票において、事前の予想を覆す「離脱」との結果が出た。これが英国自身のみならず、EU、世界に大きな衝撃を与え
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
「GDPの2%」という防衛費騒動の陰で、それよりも巨額な3%の費用を伴う脱炭素の制度が、殆ど公開の場で議論されることなく、間もなく造られようとしている。これは日本を困窮化するかもしれない。1月末に始まる国会で守るべき国民
-
政府「不測時における食料安全保障に関する検討会」のとりまとめが発表された。 もし食料不足になったら? 対策の報告書まとまる 農水省 その内容は、不測の事態によって食料が不足するときに、政府が食料の配給をしたり、価格を統制
-
ロシアによるドイツ国防軍傍受事件 3月2日の朝、ロシアの国営通信社RIAノーボスチが、ドイツ国防軍の会議を傍受したとして、5分間の録音を公開した。1人の中将と他3人の将校が、巡航ミサイル「タウルス」のウクライナでの展開に
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間