今週のアップデート — GEPRエネルギーシンポジウムを開催(2012年11月26日)
1)GEPRを運営するアゴラ研究所は、エネルギーシンポジウムを11月26、27日の両日に渡って開催します。山積する課題を、第一線の専門家を集めて語り合います。詳細は以下の告知記事をご覧ください。ご視聴をよろしくお願いします。
シンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」
シンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」出席者紹介
2)「新しい規制組織のあり方 — 原子力事業に内包した「形式主義」からの脱却を」。日本原子力発電で事業者として原子力にかかわり、福島原発事故で被災した北村俊郎氏の論考を掲載しました。
自らの立場で振り返ると、原子力事業には「形式主義」がかなり多かったとの反省です。新しくできた原子力規制庁がその問題を克服できればよいのですが。
3)「世界のエネルギー事情、ガスの大量供給で変化が進行中 — IEAリポート」。アゴラ研究所フェローの石井孝明が、IEA「エネルギーアウトルック2012」の報道向け要約のポイントをまとめました。
シェールガスの産出増によって、さまざまな影響が出ています。これが最終的に世界経済をどのように変えるかは分かりません。
4)「混迷する英国のエネルギー政策(1)— 低炭素化と国民負担と」
「混迷する英国のエネルギー政策(2)— 連立与党内の対立、そして妥協の成立へ」
GEPRの提携するNPO国際環境経済研究所に掲載された、有馬純日本貿易振興機構ロンドン事務所長のコラムです。
迫る日本の選挙で、民主党は「グリーン・エネルギー革命」を争点の一つに掲げています。政治や世論では環境・エネルギー政策をイメージで語る例も多いようです。しかし、環境政策で先駆的な政策を次々と英国の例を見ると、印象論による議論だけではなく、コストと現実性の検証も行われています。理想と現実の折り合いはなかなか難しいようです。
今週のリンク
1)「石油とガス:宝の山に沸く米国」(英エコノミスト、JBpress翻訳)
IEAの「エネルギーアウトルック」を元に書かれた、米国のエネルギー事情を解説したの論説コラムです。シェールガスは経済のプラスに働くものの、化石燃料の使用は変らない可能性があります。問題をじっくり見つめることを訴えるコラムです。
2)「再エネ買い取り制度を見直すドイツ — 想定を超えて増える再エネの調整に本腰」(日経ビジネス記事)
エネルギーコンサルタントの山家公雄氏の11月22日のコラム。ドイツの政策の概観と転換の説明をしています。
3)「原子力協定期限、日米同盟の危機 元IAEA理事会議長が提言」(SankeiBiz寄稿)
原子力をめぐる国際交渉を担ってきた元外交官の寄稿です。
プルトニウム管理について、民主党政権の考察が足りないという指摘です。残念ながらその通りで、政権の担当大臣らは何も考えていなかったようです。
4)選挙を控えて自民党の政権公約が21日発表されました。(政策パンフレット「日本の危機。だから自民党」)メタンハイドレートの開発など、海洋資源開発を目指すと明記。原発については、再稼動は順次判断、3年以内の結論を目指すとぼかしました。
民主党は26日時点でマニフェストを明示していません。しかし、「30年代原発ゼロを目指す」「グリーン・エネルギー革命の実現」を軸にエネルギー政策を打ち出す見込みです。
5)「生活や社民、脱原発などで共同戦線 埋没恐れ協調へ」(日本経済新聞記事)
11月22日の記事です。第三極の合従連衡の中で、埋もれることを懸念した小規模政党が、脱原発を軸に教頭を行おうという取り組みを示しています。エネルギーを政争の道具にしてほしくはありません。
関連記事
-
英国で2007年に発表されたスターン氏による「スターン・レビュー」と言う報告書は、地球温暖化による損害と温暖化対策としてのCO2削減の費用を比較した結果、損害が費用を上回るので、急進的な温暖化対策が必要だと訴えた。 当時
-
ロシアへのエネルギー依存を脱却すべく、欧州が世界中からエネルギーを買い漁っている。この影響で世界のエネルギー価格は暴騰した。これに耐えかねて、開発途上国では石炭の増産と石炭火力発電の利用計画が次々と発表されている。 ニュ
-
メディアでは、未だにトヨタがEV化に遅れていると報道されている。一方、エポックタイムズなどの海外のニュース・メディアには、トヨタの株主の声が報じられたり、米国EPAのEV化目標を批判するトヨタの頑張りが報じられたりしてい
-
小泉元首相の「原発ゼロ」のボルテージが、最近ますます上がっている。本書はそれをまとめたものだが、中身はそれなりの知識のあるゴーストライターが書いたらしく、事実無根のトンデモ本ではない。批判に対する反論も書かれていて、反原
-
本年9月の総選挙の結果、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU)は全709議席のうち、246議席を獲得して第1党の座を確保し、中道左派の社会民主党(SPD)が153議席で第2党になったものの、これまで大連立を
-
はじめに 原子力発電は福一事故から7年経つが再稼働した原子力発電所は7基[注1]だけだ。近日中に再稼働予定の玄海4号機、大飯4号機を加えると9基になり1.3基/年になる。 もう一つ大きな課題は低稼働率だ。日本は年70%と
-
EUの気候変動政策に関して、去る12月18日に開催されたEUのトリローグ(欧州委員会、欧州議会、欧州理事会の合同会合)で、懸案となっていたEUの排出権取引制度ならびに国境調整措置導入に関する暫定的な合意が成立した。 そこ
-
GEPRの運営母体であるアゴラ研究所は映像コンテンツである「アゴラチャンネル」を提供しています。4月12日、国際環境経済研究所(IEEI)理事・主席研究員の竹内純子(たけうち・すみこ)さんを招き、アゴラ研究所の池田信夫所長との対談「忘れてはいませんか?温暖化問題--何も決まらない現実」を放送しました。 現状の対策を整理し、何ができるかを語り合いました。議論で確認されたのは、温暖化問題では「地球を守れ」などの感情論が先行。もちろんそれは大切ですが、冷静な対策の検証と合意の集積が必要ではないかという結論になりました。そして温暖化問題に向き合う場合には、原子力は対策での選択肢の一つとして考えざるを得ない状況です。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間