「東日本大震災からの農林水産業の復興に向けて―被害の認識と理解、復興へのテクニカル リコメンデーション」
この勧告は農業の技術的な提言に加えて、日本の現状を分析しています。
「放射能汚染を受けた地域の農業関係者に共通するのは、風評被害に対する恐怖である。それが、極端にいえば、「村に一切の放射能がない状態への復元」という実現不可能な除染を望む声を生み、結果的に除染が一向にすすまない状況を生んでいる場合さえある。」
「 消費者が、事故発生時点の「何が起こったか分からない」という状況で、事故地周辺の農産物を避けたのは正当なリスク回避の一つであったともいえよう。しかし、現在、放射性物質による汚染がほぼ正確に理解され、出荷、流通段階での検査等で安全性が確認された状況で、同じことをするのは公正な市場を損ねることになりかねない。」
「残念ながら、ときに、他地域の地方自治体と住民までが「風評加害者」となり、放射能汚染は、差別のような日本人の心の汚染にまで広がっているという
指摘さえある。」
いずれも重要な指摘です。

関連記事
-
日本原子力発電の敦賀発電所2号機の下の破砕帯をめぐる問題の混乱が続いている。原電の追加調査で、問題になった断層が、存在しないことが示された。
-
東日本大震災から4年を経過した3月24日、衆議院第一議員会館の多目的ホールにて、福島の放射線政策の大転換を促す狙いで、科学会議「SAMRAI2014」が開催されました。
-
東京大学准教授、中川恵一氏のご厚意により、中川氏の著書『放射線医が語る被ばくと発がんの真実』(ベストセラーズ)に掲載されたロシア政府のチェルノブイリ原発事故の報告書を掲載する。原典はロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所ホームページ(ロシア語)。翻訳者は原口房枝氏。
-
(GEPR編集部より)広がった節電、そして電力不足の状況をどのように考えるべきか。エネルギーコンサルタントとして活躍し、民間における省エネ研究の第一人者である住環境計画研究所会長の中上英俊氏に、現状の分析と今後の予想を聞いた。
-
河野太郎衆議院議員(自民党)は電力業界と原子力・エネルギー政策への激しい批判を繰り返す。そして国民的な人気を集める議員だ。その意見に関係者には反論もあるだろう。しかし過激な主張の裏には、「筋を通せ」という、ある程度の正当
-
エネルギーは、国、都市、そして私たちの生活と社会の形を決めていく重要な要素です。さらに国の安全保障にも関わります。日本の皆さんは第二次世界大戦のきっかけが、アメリカと連合国による石油の禁輸がきっかけであったことを思い出すでしょう。
-
昨年の福島第一原子力発電所における放射性物質の流出を機に、さまざまなメディアで放射性物質に関する情報が飛び交っている。また、いわゆる専門家と呼ばれる人々が、テレビや新聞、あるいは自らのブログなどを通じて、科学的な情報や、それに基づいた意見を発信している。
-
石炭火力発電の建設計画が次々に浮上している。電力自由化をにらみ、経済性にすぐれるこの発電に注目が集まる。一方で、大気汚染や温室効果ガスの排出という問題があり、環境省は抑制を目指す。政府の政策が整合的ではない。このままでは「建設バブルの発生と破裂」という、よくあるトラブルが発生しかねない。政策の明確化と事業者側の慎重な行動が必要になっている。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間