またESG運用会社の悪事が明らかに

2025年04月13日 06:50

photonarrative/iStock

ドイツ銀行傘下の資産運用会社DWS、グリーンウォッシングで2700万ドルの罰金 ロイター

ドイツの検察当局は、資産運用会社のDWSに対し、2500万ユーロ(2700万ドル)の罰金を科した。ドイツ銀行傘下のDWSは、環境・社会・ガバナンス投資の「リーダー」であり、ESGはそのDNAの不可欠な一部であると公言していた。

今回の罰金はドイツの金融投資法違反に対するもので、DWSが2023年に米国でESG投資に関連した虚偽記載とマネーロンダリング防止策の不備に関する告発を解決するために2500万ドルを支払うことで合意したことに続くものだ。

2020年にグループ・サステナビリティ・オフィサーとしてDWSに入社したデジリー・フィクスラーは、規制当局や調査官、ジャーナリストに対して、DWSは自社の投資対象がいかに環境に優しいかを偽って説明していたと主張した。彼女は2021年に同社を去った。

ドイツ検察当局がフランクフルトのDWSとドイツ銀行の事務所を家宅捜索した後、当時のCEOであったアソカ・ヴォーアマンは辞任した。

ドイツ銀行傘下の資産運用会社DWSが、ESG投資に関わる偽装で当局から罰金を科されたそうです。その額、2023年と2025年の合計で約80億円。家宅捜索され当時のCEOは辞任したとか。民間の事業会社でこんなことが起きたら大事件のはずですが、相変わらず日本語のメディアではほとんど報道がありません。

米国では(トランプ大統領が就任する前の)2024年6月に、下院司法委員会が「左翼活動家と大手金融機関によるESG共謀の証拠を暴く」と題するレポートを公開していました。

この報告書は、Climate Action 100+などのESG投資家の集まりを「最も過激な犯罪者(most radical offenders)」と指摘しています。また、カルテルや独占禁止法違反の疑いで当局が実施する調査からESG投資家が逃げ回っていたことや、『トロイの木馬』モデルに従ってさまざまな企業で株主提案を悪用していたことなども触れられています。

ESG投資の市場規模は2021年のピーク時からわずか3年で半減しており、今年に入ってようやく日本の金融機関も気候カルテルから脱退し始めました。

筆者は2023年5月に「2023年はESGの終わりの始まり」という記事を書いていました。ESGは終焉に向かっています。日本企業の皆さま、くれぐれもバスから降り遅れませぬように。

SDGsエコバブルの終焉

This page as PDF

関連記事

  • 以前、尾瀬の自然保護活動に関して「仮想評価法(CVM)」という手法を使ってその価値の計測を試みたことがある。ハイカーが押し寄せて自然が荒廃した1960年代の尾瀬の写真と、保護活動により回復した現在の尾瀬の写真を2つ提示し、尾瀬の美しい自然価値に対して自分が支払ってもいいと考える評価額(支払い意思額)を聞いたものだ。回答のなかには驚くほど高額の回答もあり、平均すると年間で1人1000円超となった。担当者としては、尾瀬の自然に高い価値を感じてくださっていることを嬉しく思うと同時に、その場で自分が支払うわけではない「架空の財布の紐」は緩いのだとも感じた。
  • 「2030年までにCO2を概ね半減し、2050年にはCO2をゼロつまり脱炭素にする」という目標の下、日米欧の政府は規制や税を導入し、欧米の大手企業は新たな金融商品を売っている。その様子を観察すると、この「脱炭素ブーム」は
  • アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPRはサイトを更新しました。
  • デンマークの統計学者、ビョルン・ロンボルグ氏の著書『地球と一緒に頭を冷やせ』を軸に、温暖化問題を考察しました。GEPR編集部が提供します。
  • 2022年の年初、毎年世界のトレンドを予想することで有名なシンクタンク、ユーラシアグループが発表した「Top Risks 2022」で、2022年の世界のトップ10リスクの7番目に気候変動対策を挙げ、「三歩進んで二歩下が
  • 遺伝子組み換え(GM)作物に関する誤解は、なぜ、いつまでたっても、なくならないのか。1996年に米国で初めて栽培されて以来、「農薬の使用量の削減」などたくさんのメリットがすでに科学的な証拠としてそろっている。なのに、悪いイメージが依然として根強い背景には何か理由があるはずだ。
  • 猪瀬直樹氏が政府の「グリーン成長戦略」にコメントしている。これは彼が『昭和16年夏の敗戦』で書いたのと同じ「日本人の意思決定の無意識の自己欺瞞」だという。 「原発なしでカーボンゼロは不可能だ」という彼の論旨は私も指摘した
  • 去る7月23日、我が国からも小泉環境大臣(当時)他が参加してイタリアのナポリでG20のエネルギー・気候大臣会合が開催された。その共同声明のとりまとめにあたっては、会期中に参加各国の合意が取り付けられず、異例の2日遅れとな

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑