脱炭素政策に対する日本政府と東京都の答弁をご覧ください

rudall30/iStock
先日アゴラで紹介されていた動画を見ました。12月19日の衆議院国会質疑で、質問者は参政党北野裕子議員。質疑の一部を抜粋します。
北野議員:2030年46%削減、2050年CO2ゼロを達成した場合の電気代はいくらになるか?
政府:予断をもって回答することはできない。
北野議員:2050年に日本がCO2排出量をゼロにした場合の気温上昇抑制効果は0.006℃でよいか。政府の分析にもとづく正確なデータは?
政府:予断をもつことができないためお答えは困難。
北野議員:根拠が不確かなCO2削減目標を設定するのであれば、同時に国民が豊かに暮らせる安価な電気料金の目標を設定すべきでは?
環境大臣:エネルギー基本計画、電気料金制度は経産省が所掌しているので回答を差し控える。
議員の質問に対して政府はまったく正面から答えません。
衆議院ではなく参議院のウェブサイトですが、子供向けの国会説明にこんな記述があります。

出所:参議院キッズページ(赤丸は筆者)
上記の答弁、とても小中学生に見せられたもんじゃありませんね。
一方、こちらは12月11日の東京都議会一般質問です。質問者は自由を守る会上田令子都議(5:18:03〜5:33:28)。
上田議員:伊豆諸島沖で浮体式洋上風力発電を行うと知事が突然表明。都と国と事業者の責任分担、具体的な根拠法、送電線の有無など詳細な説明を。
東京都:洋上風力発電の建設は再エネ海域利用法によれば事業者が実施するもの。
上田議員:炭素クレジット利用はCO2を減らさないとの指摘がある。中小企業の負担を増やし都民の税金を浪費するだけでは。予算とCO2削減見込み量は?
東京都:予算は2.5億円。炭素クレジット活用によってより多くのCO2を削減する環境を整える。
上田議員:なぜ知事は満額の退職金を受領したのか。知事の所見を求める。
東京都:知事がこれまでお伝えしてきている通り。
上田議員:再質問。結局、洋上風力発電のコストはいくらか。国民の負担は発生するのか?
東京都:洋上風力発電の建設は再エネ海域利用法によれば事業者が実施するもの。
上田都議:再質問。退職金について知事の答弁を求める。
東京都:これまでも執行機関(=知事)として適切に答弁している。
東京都にもみんなの都議会キッズページというウェブサイトがあります。中にはこんな記述が。

出典:みんなの都議会キッズページ(赤丸は筆者)
この日、子供たちが見学していても都は同じように答弁したのでしょうか。
民間企業であれば、顧客や発注元や株主からの質問に対してこんな態度で回答をしたら大炎上します。翌年には売り上げが激減して早晩廃業になりますが、親方日の丸に倒産はありません。全国民・全都民に見てほしい動画です。
■

関連記事
-
原子力の始まりが、政治の主導であった歴史を紹介している。中曽根氏の演説は格調高いが、この理想はなかなか活かされなかった。
-
電気代が高騰している。この理由は3つある。 反原発、再エネ推進、脱炭素だ。 【理由1】原子力の停止 原子力発電を運転すれば電気代は下がる。図1と表1は、原子力比率(=供給される全電力に占める原子力発電の割合)と家庭用電気
-
はじめに 原発は高くなったと誤解している人が多い。これまで数千億円と言われていた原発の建設費が3兆円に跳ね上がったからである。 日本では福島事故の再防止対策が膨らみ、新規制基準には特重施設といわれるテロ対策まで設置するよ
-
「原発、国民的合意を作れるか? — 学生シンポジウムから見たエネルギーの可能性」を GEPR編集部は提供します。日本エネルギー会議が主催した大学生によるシンポジウムの報告です。
-
デンマークの統計学者、ビョルン・ロンボルグ氏の著書『地球と一緒に頭を冷やせ』を軸に、温暖化問題を考察しました。GEPR編集部が提供します。
-
前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 ■ 「要約」に環境影響についての観測の統計が図表で提示されていないのはおかしい、と指摘したが、唯一あったのはこれだ(図TS.6)。 これは、気候
-
「もんじゅ」の運営主体である日本原子力研究開発機構(原子力機構)が、「度重なる保安規定違反」がもとで原子力規制委員会(規制委)から「(もんじゅを)運転する基本的能力を有しているとは認めがたい」(昨年11月4日の田中委員長発言)と断罪され、退場を迫られた。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間