海面上昇ではなく海面下降している伊豆半島
地球温暖化による海面上昇ということが言われている。
だが伊豆半島についての産業総合研究所らの調査では、地盤が隆起してきたので、相対的に言って海面は下降してきたことが示された。
プレスリリースに詳しい説明がある。
大正関東地震後の1930年に群発地震の記録があり、このとき地盤が0.3 m程度隆起したことがわかっています(Tsuboi, 1933)。さらに1974~1998年にも群発地震がたびたび発生し、この間にゆっくりと0.4〜0.6 mも隆起したことが観測されています(国土地理院、2016)。つまりゾーン3はこれらの隆起で干上がったものと考えられます。
1974年から1988年にかけての群発地震は筆者も覚えている。あのときに、僅か24年で40センチから60センチも隆起していたとは知らなかった。写真右のゾーン3の地形からその隆起の痕跡が読み取れるということだ。
この写真のような地形は江の島などの海岸でもよく見かけるが、あれも地盤隆起の結果なのだろうか。
IPCCによれば地球温暖化による海面上昇は世界平均で過去100年で20センチ程度だったとされているから、この地盤隆起の方がはるかに速かったことになる。
この程度の海面の上下については、人間はそれに適応してきたということだ。具体的にどのように適応してきたのだろうか。港や堤防を作り直したりしたのだろうか。それとも、どうということなく暮らしてきたのだろうか。
それを知ることは、今後ありうる海面の上下について、どのように人間が対応するかの参考になるだろう。
■
関連記事
-
(前回:再生可能エネルギーの出力制御はなぜ必要か③) 結局、火力発電を活かすことが最も合理的 再エネの出力制御対策パッケージをもう一度見てみよう。 需要側、供給側、系統側それぞれの対策があるが、多くの項目が電力需給のバラ
-
前稿で何でも自然災害を気候変動のせいにする政治家が増えていると書いた。データに基づかない、科学を無視した振る舞いだ。 その一方で、気候危機論者に無視され続けているデータは数多い。 いつも分かり易い図をまとめるロンボルグが
-
米国ラムスセン社が実施したアンケート調査が面白い。 一言で結果を言えば、米国ではエリートはCO2の規制をしたがるが、庶民はそれに反発している、というものだ。 調査は①一般有権者(Voters)、②1%のエリート、③アイビ
-
経産省と国交省が進めていた洋上風力発電をめぐって、いったん決まった公募入札のルールが、1回目の入札結果が発表されてから変更される異例の事態になった。 ゲームが始まってからルールを変えた これは2020年から始まった合計4
-
本原稿は2012年5月の日本原子力産業協会の年次総会でバーバラ・ジャッジ氏が行った基調講演要旨の日本語訳である。ジャッジ氏、ならびに同協会の御厚意でGEPRに掲載する。
-
CO2濃度を知っているのは10人に1人、半数は10%以上と思っている事実 2021~22年にかけて、短大生222人とその家族や友人合わせて計641人に、大気中の二酸化炭素濃度を尋ねた結果、回答者全体の約11%が0.1%未
-
2021年8月に出たIPCCの報告の要約に下図がある。過去の地球の平均気温と大気中のCO2濃度を比較したものだ。これを見ると、CO2濃度の高い時期(Early Eocene)に、気温が大変に高くなっているように見える。
-
ただ、当時痛切に感じたことは、自国防衛のための止むを得ぬ戦争、つまり自分が愛する者や同胞を守るための戦争ならともかく、他国同士の戦争、しかも大義名分が曖昧な戦争に巻き込まれて死ぬのは「犬死」であり、それだけは何としても避けたいと思ったことだ。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間