英国スターン報告書のハズレた温暖化被害予測
英国で2007年に発表されたスターン氏による「スターン・レビュー」と言う報告書は、地球温暖化による損害と温暖化対策としてのCO2削減の費用を比較した結果、損害が費用を上回るので、急進的な温暖化対策が必要だと訴えた。
当時のメディアや政治、行政はこぞってこれを引用して温暖化対策を訴えた。
だがその地球温暖化の損害の予測は正しかったのか? ロジャー・ピールキー・ジュニアが検証している。
図1はスターン報告書における気候関連の被害の金額の予測(グレー)と、統計の実績値(黒)の比較。破線はトレンド線。単位はGDPあたりの金額で、対象は世界全体。
スターンの予測では被害は増大するはずだったが、実績では被害は増大していない。
図2は同じものを2050年までの予測を含めて示したもの。
以前この連載でも書いたように、これまでのところ、台風やハリケーンの激甚化など一切起きていない。したがってGDPあたりの被害が増えていないことも、ごく当たり前のことだ。
スターン報告書は、少なくともこれまでのところ、「気候変動による損害」の増加を過大に見積もっていたようだ。もちろん、だからといって将来についても外れているとは論理的には結論できないが、あまり鵜呑みにすべきでないことも確かだろう。
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