今週のアップデート — 電力システム改革の進め方(2013年7月8日)
今週のアップデート
発送電分離、地域独占を柱とする電力システム改革の見直しが検討されています。6月の国会では、審議未了によって廃案になりましたが、安倍内閣は再提出の意向です。しかし、実施によって、メリットはあるのでしょうか。
元経産省で、現在は中立の立場から政策提言を続ける石川和男さんに、寄稿をお願いしました。石川さんはかつて、システム改革にかかわりました。寄稿は全3回の予定です。
発送電分離、独占見直しによって競争が起こり、電力料金が下がるという、多くの人が主張する論点があります。第1回目は、これが正しいのかについて検証しています。
金融市場で活躍するビジネスパーソンの視点から、エネルギー問題について論評する森本紀行さんのコラムです。現在、改革の議論から、経産省の特別委員会から国会審議まで、実務を担う電気事業者の意見を詳細に聞かない異様な状況が続いています。それを批判したものです。
3)映画「パンドラの約束」— 米環境派、原子力否定から容認への軌跡
米国で反響を呼んだドキュメンタリー映画の紹介の詳細版です。アゴラ研究所・GEPRはこの映画の日本公開に協力します。近日中に詳細をお伝えします。
今週のリンク
日本経済新聞7月3日記事。6月の国会で審議未了のまま廃案になった電気事業法改正案について、再び成立を目指すことを表明しました。しかし、その改正にはGEPRで取り上げたように、多くの問題があります。
外務省7月4日報告。ロシアのサンクト・ペテルブルグで開催された国際閣僚会議の報告です。ロシアのプーチン大統領の主導で行われました。日本は福島の経験を語り、原子力の平和利用を継続することを表明しました。出席は菅原一秀経済産業副大臣です。
米紙ワシントンポスト7月5日、論説記事。英語題名は「Obama’s global-warming folly」。保守派の著名コラムニストであるチャールズ・クラウトハンマー氏が、オバマ大統領の地球温暖化政策を批判。地球温暖化問題は深刻とした上で、オバマ政権が打ち出したように、石炭の使用を止めたら万事解決というような問題ではないと指摘。米国だけが自分で「経済的な自殺」を図るのは愚行だと、まとめています。
日本経済新聞7月5日記事。泉田知事が、議論もせず拒否する形で、新潟県にある東電柏崎刈羽原発の再稼動の事前了承を見送ることになりました。知事に原発を止める法的な権限はありません。
泉田氏の行動について、元同僚だった池田信夫アゴラ研究所所長が批判しています。
記事で紹介したパンドラの約束のサイトです。現在全米公開中で、映画の概要が示されています。
関連記事
-
前代未聞の原発事故から二年半を過ぎて、福島の被災者が一番注意していることは仲間はずれにならないことだ。大半が知らない土地で仮の生活をしており、親しく付き合いのできる相手はまだ少ない。そのような状況では、連絡を取り合っている元の町内の人たちとのつながりは、なにより大切なものだ。家族や親戚以外にも従来交流してきた仲間とは、携帯電話やメールなどでよく連絡を取り合っている。仕事上の仲間も大切で、暇にしていると言うと、一緒に仕事をやらないかと声を掛けてくれる。
-
昨年11月に発表されたIEA(国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlookが、ちょっと話題を呼んでいる。このレポートの地球温暖化についての分析は、来年発表されるIPCCの第6次評価報告書に使われるデータ
-
はじめに 日本の放射線利用では不思議なことが起きている。胸部エックス線検査を受けたことが無い人はいないだろうし、CT(Computed Tomography)やPET(陽電子放射断層撮影)も広く知られ実際に利用した人も多
-
3人のキャスターの飾らない人柄と親しみやすいテーマを取り上げることで人気の、NHK「あさイチ」が原子力発電を特集した。出演者としてお招きいただいたにもかかわらず、私の力不足で議論を深めることにあまり貢献することができなか
-
福島原発の事故により、事故直前(2010年度)に、国内電力供給の25% を占めていた原発電力の殆どが一時的に供給を停止している。現在、安全性の確認後の原発がどの程度、再稼動を許可されるかは不明であるが、現状の日本経済の窮状を考えるとき、いままで、国民の生活と産業を支えてきた原発電力の代替として輸入される化石燃料は、できるだけ安価なものが選ばれなければならない。
-
GEPRの14年2月の記事。再掲載。原子力規制委員会の手続きおける、法律上の問題について分析している。違法行為がかなり多い
-
「2050年のカーボンニュートラル実現には程遠い」 現実感のあるシナリオが発表された。日本エネルギー経済研究所による「IEEJ アウトルック 2023」だ。(プレスリリース、本文) 何しろここ数年、2050年のカーボンニ
-
GEPR編集部は、ゲイツ氏に要請し、同氏の見解をまとめたサイト「ゲイツ・ノート」からエネルギー関連記事「必要不可欠な米国のエネルギー研究」を転載する許諾をいただきました。もともとはサイエンス誌に掲載されたものです。エネルギーの新技術の開発では、成果を出すために必要な時間枠が長くなるため「ベンチャーキャピタルや従来型のエネルギー会社には大きすぎる先行投資が必要になってしまう」と指摘しています。効果的な政府の支援を行えば、外国の石油に1日10億ドルも支払うアメリカ社会の姿を変えることができると期待しています。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間