ノーベル物理学賞は死んだ・・・ある物理学者の批判
眞鍋叔郎氏がノーベル物理学賞を受賞した。祝賀ムードの中、すでに様々な意見が出ているが、あまり知られていないものを紹介しよう。
今回のノーベル物理学賞を猛烈に批判しているのはチェコ人の素粒子物理学者ルボシュ・モトルである。
以下、抜粋しよう。
ノーベル物理学賞は死んだ。
他のノーベル賞、特に平和賞や文学賞は、テロリストや共産主義者が受賞したという実績がある。理由は、左翼や西欧嫌いの人々の間で人気があったからだ。今は亡きテロリストのアラファトの受賞は典型例だ。オバマは、実質的なことを何もせず、何十もの戦争を始める前に、平和賞をもらった。アル・ゴアは、破滅的な地球温暖化についての不正なパワーポイントのプレゼンテーションで受賞したが、これは大量の不正直な左翼がこの種の反科学的な嘘を愛したからだ。
しかしこれまでのところ、科学的な賞、特にノーベル物理学賞は、この有害で価値のないゴミからほぼ守られていた。しかしこれももう終わった。2021年のノーベル物理学賞を真鍋淑郎氏とクラウス・ハッセルマン氏が受賞したからだ。
「地球の気候を物理的にモデル化し、変動性を定量化し、地球温暖化を確実に予測したことが評価された。(for the physical modelling of Earth’s climate, quantifying variability and reliably predicting global warming.)」という授賞理由だ。
この人達が気候モデルの初期に影響力のある仕事をしていたことは確かだ。そして、この人たちは、予測を誇張することを好むような過激な活動家でもないと思う。
しかし勘違いしてはいけない。気候モデルは、新しく確実な知見をもたらした訳ではない。この50年間で、短期的な気象モデルはある程度進歩したものの、長期的なモデルはほとんど何も進歩していない。特にCO2の気候への影響の大きさについては、関連するすべての量(気候感度など)は、これらのモデリング作業が開始されたときと同様に不確かなままであり、「地球温暖化を確実に予測」という主張は全くの嘘である。
だから、ノーベル賞を受賞する理由はない。特に、いくらかランダムに選ばれた「気候の物理学者」に贈られるような賞ではない。
仮にこの2人がそのような賞に値するとしても(値しないと思うが)、この賞が正当化された理由は絶対に許せない。この賞は、アル・ゴアのような純粋な詐欺師に与えられるノーベル平和賞の正当化とほとんど同じような流行語(特に「地球温暖化」という無意味な迷信的フレーズを意味する)によって正当化された。
ノーベル賞は自殺した。私はノーベル賞の話を二度と聞きたくない。
この賞の政治的動機は100%明らかだ。科学の中でも最も難しい学問である物理学が積み上げてきた信用を盗み、現代の最悪の疑似科学的迷信の一つに与えるために、これらの人々が選ばれたのだ。
歯に衣着せぬ物言いで面食らうかもしれない(小生も物理専攻だったが物理屋はこういう人が多い。眞鍋さんもこの意味では典型的物理屋らしい。科学の為には良いが日本では生き辛い事もある)。だが全てに賛成はしないまでも、かなり本質を突いている。似た様な感想を持つ方も多いのではないか。
1点だけ筆者から補足する。アル・ゴアは2020年にはキリマンジャロの雪はなくなると予言するなど、数々の嘘をついていた(もちろん今でも雪はある)。
■
関連記事
-
先週、アップルがEV開発を中止するというニュースが世界中を駆け巡りました。EVに関してはベンツも「30年EV専業化」戦略を転換するようです。国レベルでも2023年9月に英スナク首相がEV化を5年遅らせると発表しました。
-
1.コロナ人工説への弾圧と変節 コロナウイルスが武漢研究所で人工的に作られ、それが流出したという説が俄かに有力になってきた。 かつては、コロナ人工説は「科学の否定」であり「陰謀論」だという意見がCNNなどのリベラル系が優
-
このところ小泉環境相が、あちこちのメディアに出て存在をアピールしている。プラスチック製のスプーンやストローを有料化する方針を表明したかと思えば、日経ビジネスでは「菅首相のカーボンニュートラル宣言は私の手柄だ」と語っている
-
EUのエネルギー危機は収まる気配がない。全域で、ガス・電力の価格が高騰している。 中でも東欧諸国は、EUが進める脱炭素政策によって、経済的な大惨事に直面していることを認識し、声を上げている。 ポーランド議会は、昨年12月
-
6月にボンで開催された第60回気候変動枠組み条約補助機関会合(SB60)に参加してきた。SB60の目的は2023年のCOP28(ドバイ)で採択された決定の作業を進め、2024年11月のCOP29(バクー)で採択する決定の
-
池田信夫アゴラ研究所所長。8月22日掲載。経産省横の反原発テントが、撤去されました。日本の官僚の事なかれ主義を指摘しています。
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 今回のIPCC報告では、新機軸として、古気候のシミュレー
-
自民党河野太郎衆議院議員は、エネルギー・環境政策に大変精通されておられ、党内の会議のみならずメディアを通じても積極的にご意見を発信されている。自民党内でのエネルギー・環境政策の強力な論客であり、私自身もいつも啓発されることが多い。個人的にもいくつかの機会で討論させていただいたり、意見交換させていただいたりしており、そのたびに知的刺激や新しい見方に触れさせていただき感謝している。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間