中国のCO2は先進国の合計を追い越し、更に増え続ける

ronniechua/iStock
中国のCO2排出量は1国で先進国(米国、カナダ、日本、EU)の合計を追い越した。
分かり易い図があったので共有したい。

図1
図1は、James Eagle氏作成の動画「China’s CO2 emissions almost surpass the G7」からのスクリーンショット。縦軸は年間のCO2排出量で単位は100万トン。左が中国、右は先進国(G7である米国、英国、カナダ、日フランス、ドイツ、イタリア、日本、およびその他のEU)。
動画では中国のCO2排出が2000年以降急速に伸び続け、2019年時点でほぼ追いついていることが分かる。伸びの勢いからみて、既に逆転しているであろう。
さて今後はどうか。
日本を含めて、先進国は軒並み2030年までにCO2を半減すると宣言している。
その一方で、中国の現行の5か年計画では、2025年までにあと1割CO2を増やす見込みである。また中国は2030年まではCO2の増加を続けるとしている。

図2
この図2の縦軸はCO2等注1)の年間排出量で、単位は億トン。今後5年の中国の増加量は、日本の年間排出量に匹敵する。
先進国が本当にCO2を半減できるなどとは筆者は思わないが、それを目指すだけで、産業空洞化などによる経済的な悪影響は計り知れない。
その一方で、中国はCO2に制約されることなく経済成長を続ける。
先進国は、民主主義を守るどころか、共産主義・中国の台頭を前にして、わざわざ自滅しようとしている。
<注記>
注1) やや細かく言うと、この図2は、図1と厳密には数値の意味が違う。CO2だけでなくメタンなど他の温室効果ガスも加えたCO2等で表示してある。本稿の議論には影響はない。
■

関連記事
-
コロナ後の経済回復を受けて米国で石炭ブームになっている。米国エネルギー省の見通しによると、今年の石炭生産量は6億1700万トンに上り、1990年以降最大になる見通しである(p47 table 6)。 更に、アジアでの旺盛
-
日本経済新聞12月9日のリーク記事によると、政府が第7次エネルギー基本計画における2040年の発電量構成について「再生可能エネルギーを4~5割程度とする調整に入った」とある。 再エネ比率、40年度に「4~5割程度」で調整
-
はじめに 日本の放射線利用では不思議なことが起きている。胸部エックス線検査を受けたことが無い人はいないだろうし、CT(Computed Tomography)やPET(陽電子放射断層撮影)も広く知られ実際に利用した人も多
-
このコラムでは、1986年に原発事故の起こったチェルノブイリの現状、ウクライナの首都キエフにあるチェルノブイリ博物館、そして私がコーディネートして今年6月からこの博物館で行う福島展について紹介したい。
-
財務情報であれば、業種も規模も異なる企業を同じ土俵で並べて投資対象として比較することができます。一方で、企業のESG対応についても公平に評価することができるのでしょうか。たとえば、同じ業種の2社があり財務状況や成長性では
-
本年1月に発表された「2030年に向けたエネルギー気候変動政策パッケージ案パッケージ案」について考えるには、昨年3月に発表された「2030年のエネルギー・気候変動政策に関するグリーンペーパー」まで遡る必要がある。これは2030年に向けたパッケージの方向性を決めるためのコンサルテーションペーパーであるが、そこで提起された問題に欧州の抱えるジレンマがすでに反映されているからである。
-
本年5月末に欧州委員会が発表した欧州エネルギー安全保障戦略案の主要なポイントは以下のとおりである。■インフラ(特にネットワーク)の整備を含む域内エネルギー市場の整備 ■ガス供給源とルートの多角化 ■緊急時対応メカニズムの強化 ■自国エネルギー生産の増加 ■対外エネルギー政策のワンボイス化 ■技術開発の促進 ■省エネの促進 この中で注目される点をピックアップしたい。
-
2050年にCO2をゼロにすると宣言する自治体が増えている。これが不真面目かつ罪作りであることを前に述べた。 本稿では仮に、日本全体で2050年にCO2をゼロにすると、気温は何度下がり、豪雨は何ミリ減るか計算しよう。 す
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間