サウジのファーレフ石油大臣の東京セミナー発言要旨
ファーレフ大臣(アラムコHPより)
サウジアラビアのエネルギー・産業・鉱物資源省(石油担当)大臣で、国営石油会社のサウジアラムコ会長を兼ねるカリード・A・アル・ファーレフ氏が9月1日の東京のセミナー「日本サウジアラビア〝ビジョン2030〟ビジネスフォーラム」で行った発言の要旨が公表された。
記事「改革進めるサウジ、その先は?-日本の未来を左右」の関連情報として紹介する。
以下、資料は抜粋(注・主として、シンポジウム参加のメディア関係者に配布された資料)
セミナーで、ファーレフ大臣は60年に渡って、日本とサウジアラビアが良好な外交、企業同士の深い関係を作り上げてきたことを強調した。日本と日本企業は、サウジアラムコ、そしてサウジアラビアに重要な国であると述べた。
さらに大臣は、サウジの改革プランの「サウジビジョン2030」を紹介。この改革によって、サウジは開かれ、国民に質の高い雇用と生活を提供すること、サウジ経済、そしてサウジアラムコがより強くなるという期待を述べた。そしてその結果、日本政府、企業にとってより重要な存在になりえると話した。
「サウジビジョン2030は、ガス、オイル、石油化学、また建設という従来のビジネスだけではなく、ICT(情報通信)、バイオテクノロジー、再生可能エネルギー、ナノテク、ロボット、エンターテイメントなどの分野で、両国の協力の機会を広げるでしょう」と大臣は期待を述べた。
またサウジはアジア、アフリカ、ヨーロッパの結節点に位置し、この改革で物流、情報、資本の「ハブ」を目指すという。日本企業は、ここに拠点を置くことで、国際的な事業展開がしやすくなると、サウジの強みを述べた。そして日本企業を含めて、海外企業の投資、ビジネスの誘致をしていくという。
「サウジビジョン2030が実現し、さらにサウジと日本の双方が、豊かな未来を作り上げていくことを確信しています」と、大臣は語った。
関連記事
-
米軍のイラク爆撃で、中東情勢が不安定になってきた。ホルムズ海峡が封鎖されると原油供給の80%が止まるが、日本のエネルギー供給はいまだにほとんどの原発が動かない「片肺」状態で大丈夫なのだろうか。 エネルギーは「正義」の問題
-
WNN(世界原子力通信)9月12日記事。英語。原題は「Iran and Russia celebrate start of Bushehr II」イランのブシェール原発の工事が始まった。ロシアのロスアトムの支援で、工事費は2期で約100億ドルの見込み。完成時期は24年と26年。イラン核合意で、原発建設が再始動した。
-
原油価格は1バレル=50ドル台まで暴落し、半年でほぼ半減した。これによってエネルギー価格が大きく下がることは、原油高・ドル高に加えて原発停止という三重苦に苦しんできた日本経済にとって「神風」ともいうべき幸運である。このチャンスを生かして供給力を増強する必要がある。
-
英国は6月23日に実施した国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた。エネルギー政策、産業の影響について考えたい
-
2017年の原油価格は、今後の需給改善を背景とした価格上昇の基点の年となろう。市場では、トランプ次期米大統領の誕生を前に、株価が上昇し、長期金利が上昇する中、ドルも上昇するといった動きにある。トランプ氏の大統領選での勝利以降、いわゆる「トランプ・ラリー」が続いているわけだが、原油市場の反応は芳しくない。
-
2030年の電源構成(エネルギーミックス)について現時点で予断はできない。だが、どのようなミックスになるにせよ、ヒートポンプ・EVを初めとした電気利用技術は温暖化対策の一つとして有力である。さらに、2030年以降といった、より長い時間軸で考えると、電力の低炭素化は後戻りしないであろうから、電力化率(=最終エネルギーに占める電力の割合)の上昇はますます重要な手段となる。
-
経済産業省は1月15日、東京電力の新しい総合特別事業計画(再建計画)を認定した。その概要は下の資料〔=新・総合特別事業計画 における取り組み〕の通りである。
-
電力システム改革の論議で不思議に思うことがある。電力会社や改革に慎重な人たちが「電力価格の上昇」や「安定供給」への懸念を述べることだ。自由化はそうした問題が起こるものだ。その半面、事業者はがんじがらめの規制から解き放たれ、自由にビジネスができるようになる。わざわざ規制当局の代弁をする必要はないだろう。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間