今週のアップデート - 混乱する原子力規制行政(2016年5月9日)

2016年05月09日 12:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1) 原子力規制庁人事の闇-キャリア逃亡、“戦犯”復活

GEPRの編集者であるジャーナリスト、石井孝明の記事です。原子力規制行政は混乱が続いています。今回は活断層審査という難題を抱える部署のトップの管理官が空席になる異例の人事が発生。担当のキャリアが逃げ、福島事故で津波対策の責任者だった人が就任しました。適切な行政が行えるか疑問です。

2) もんじゅ型、ナトリウム冷却炉の安全性は高い

原子炉メーカーの技術者の寄稿です。4月4日のGEPRに「もんじゅ再稼働、安全性の検証が必要」という記事が掲載されました。それについての異論と分析を示したものです。

3)中国、南シナ海侵略で移動式海上原発を活用か

上記石井の記事です。中国が海上原子力発電所の計画を打ち出しています。これについて、中国が侵略をしている南シナ海で使われる懸念が、各国の専門家の間で広がっています。

4)【言論アリーナ】原発をめぐる判断の混乱

16年4月29日公開。出演は原子力工学者の奈良林直(北海道大学大学院教授・日本保全学会会長)、経済学者の池田信夫(アゴラ研究所所長)、司会は石井孝明(ジャーナリスト)の各氏です。4月の九州地震、3月には大津地裁で稼動した高浜原発の差し止めが認められるなど、原子力の安全性が問われました。しかし、社会の原子力をめぐるリスク認識がゆがんでいます。工学者を招き、本当のリスクを分析しています。

今週のリンク

1)デビッド・マッケイ氏ホームページ

英国ケンブリッジ大学教授で物理学、エネルギーの研究者であった、デビッド・マッケイ氏が4月14日に48才で亡くなりました。再エネ推進派でしたが、コスト分析研究を先駆的に行った方で、「日本でも持続可能なエネルギー-「数値」で見るその可能性」という著書が刊行されています。その概略をまとめたホームページ。ご冥福をお祈りします。

2)がん死亡率「震災後増えず」 震災・原発事故後の健康影響調査

福島民友新聞5月8日記事。福島県民のがんの死亡率が、原発事故後も増えていないとする朗報です。病院や研究者らの統計分析の報告です。

3)G7エネ相会合、「北九州イニシアチブ」まとめ閉幕

朝日新聞5月3日記事。G7のエネルギー大臣会合が2日閉幕しました。原油価格の下落の中ですが、石油、エネルギー投資の継続を訴えました。これは適切な問題意識でしょう。

4)京大准教授に対北制裁 核研究で総連系から奨励金

産経新聞5月2日記事。北朝鮮が核実験を再び行う可能性があります。朝鮮総連が、原子力研究で、日本の朝鮮系の出自の研究者を支援していたという報道です。

5)英国の原発プロジェクト、新しい投資家を誘致

WNN5月4日記事。WNNは米国の原子力ビジネスの専門誌。原題は「Attracting investors to new nuclear projects in the UK」。英国での仏、中国企業の参加する新規原発の建設計画が難航し、英国政府が新しい投資家を募ろうと検討を始めたそうです。初期投資の巨額さが、ビジネスの上で厳しいものとなっています。

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