今週のアップデート — 揺れる世界、エネルギー独立と原発(2014年5月8日)

2014年04月30日 14:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。毎週月曜日更新ですが、編集の事情で今回水曜日としたことをお詫びします。

今週のアップデート

1) 台湾の原発、民意が揺らす — 政争の道具、日本の鏡

台湾のエネルギー・原子力政策が揺れている。建設中の台湾電力第四原発をめぐって抗議活動が広がり、政府は建設の一時中止を表明。原子力をめぐる議論で反原発を標榜する一部の世論が政府を引きずり、日本と状況がよく似ている。台湾の人々の声を集めながら、民意と原子力の関係を考える。

2) フィンランドの新原発プロジェクトの破綻の危機

フィンランド在住のジャーナリストである靴家さちこさん、フィンランドの原発事情を紹介していただきました。靴家さんには、以前、オンカロでの最終処分場についてまとめていただきました。(記事「核のゴミ、市民はどのように処分方法を決めたのか–フィンランドの経験」)。原発は、問題が入り組んでいるために、推進でも、反対でも、問題に直面します。

3) 映像「日本はIPCCの温暖化警告にどう向き合うべきか」

国連のIPCC(気候変動)が第5次報告をまとめました。気候変動問題の研究者である杉山大志さん、竹内純子さんを招き、モデレーター、石川和男さんで議論をしました。内容は近く、記事化します。

今週のリンク

1) 台湾が第4原発の建設を凍結、住民が反原発の大規模デモ

ロイター通信4月28日報道。台湾で建設中の台湾電力第四原発のABWR(改良型沸騰水型原子炉)が、政治的な争点となり、馬英九総統は建設凍結を表明しました。デモの活発化、野党が政治的な争点にするなど、日本と状況が似ています。この問題については現地事情を交えて報告します。

2) ヨーロッパにおける原子力情報(フィンランド)

欧州の情報まとめサイト。(英語)今回靴家さんの紹介したハンヒキヴィ原発など、フィンランドの原子力事情をめぐる報道が一覧で示されています。

3)川内原発再稼働 8月以降に 6月末にも審査合格

産経新聞4月20日記事。原子力規制委員会は九州電力の川内原発(鹿児島県)の優先審査を行っています。ところが、それが規制委員会の追加審査で混乱し、遅れているという報告です。

4)原発作業員が漫画連載 「見たものを記録に残したい」

毎日新聞4月28日記事。漫画誌モーニングで連載中の「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」の作者のインタビュー記事です。福島で事故直後の作業はどうだったのか。作業員の人がルポのマンガにしました。

5)広瀬社長「東電が判断」 福島第2原発1~4号機の廃炉

福島民友4月26日記事。東京電力福島第二発電所の廃炉について、福島県からの要請に、広瀬社長が見解を表明しました。プラントは80年代の建設で稼動できれば東電の経営は立ち直ります。しかし、地元感情を考えれば再稼動は難しい状況です。

This page as PDF

関連記事

  • カリフォルニア州でディアブロ・キャニオン原発が2025年までに停止することになった。これをめぐって、米国でさまざまな意見が出ている。
  • 菅首相が昨年末にCO2を2050年までにゼロにすると宣言して以来、日本政府は「脱炭素祭り」を続けている。中心にあるのは「グリーン成長戦略」で、「経済と環境の好循環」によってグリーン成長を実現する、としている(図1)。 そ
  • 山火事が地球温暖化のせいではないことは、筆者は以前にも「地球温暖化ファクトシート」に書いたが、今回は、分かり易いデータを入手したので、手短かに紹介しよう。(詳しくは英語の原典を参照されたい) まずカリフォルニアの山火事が
  • 1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた「国連環境開発会議(地球サミット)」は世界各国の首脳が集まり、「環境と開発に関するリオ宣言」を採択。今回の「リオ+20」は、その20周年を期に、フォローアップを目的として国連が実施したもの。
  • 権威ある医学誌The Lancet Planetary Healthに、気候変動による死亡率の調査結果が出た。大規模な国際研究チームが世界各地で2000~2019年の地球の平均気温と超過死亡の関連を調査した結果は、次の通
  • 以前も書いたが、北極のシロクマが増えていることは、最新の報告書でも再確認された(報告書、記事)。 今回の報告書では新しい知見もあった。 少なくとも2004年以降、ハドソン湾西部のホッキョクグマの数には統計的に有意な傾向が
  • スマートグリッドという言葉を、新聞紙上で見かけない日が珍しくなった。新しい電力網のことらしいと言った程度の理解ではあるかもしれないが、少なくとも言葉だけは、定着したようである。スマートグリッドという発想自体は、決して新しいものではないが、オバマ政権の打ち出した「グリーンニューディール政策」の目玉の一つに取り上げられてから、全世界的に注目されたという意味で、やはり新しいと言っても間違いではない。
  • 日本各地の火山が噴火を続けている。14年9月の木曽の御嶽山に続き、今年6月に鹿児島県の口之永良部島、群馬県の浅間山が噴火した。鳴動がどこまで続くか心配だ。火山は噴火による直接の災害だけではない。その噴煙や拡散する粒子が多い場合に太陽光を遮り、気温を下げることがある。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑